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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第180鎌倉散歩(3)

「次は明月院に行こうかと、そこに馴染みのお坊さんがいるので、座禅をしようと思っている」

光にしては殊勝な言葉により、四人組は、そのまま明月院に入った。


「ところで、テレビで見たことあるけど、ここって紫陽花寺?」ルシェール

「うん、六月の紫陽花の時期になると、すごい行列になるよ」光

「へえ・・・今は静かだね」華奈

「うん、裏の庭に、花菖蒲もあって、きれい」光

「お父さんとお母さんと来たの?」春奈

「うん、紫陽花の時期も、紅葉の時期もね」光

「へえ、いいなあ・・・」ルシェール

四人がそんなことを言いながら階段を登ると、方丈の丸窓が見えて来た。


「へえ・・・お月さまみたいにまん丸だ」華奈

「なんか、しっとりとして、いいなあ」春奈

「この方丈の前のお庭も素晴らしい」ルシェール

「うん、枯山水で、向うの山の景色を取り入れて・・・借景っていうのかな」光

「奈良のお寺では、あんまりないね」春奈

「それでも、落ち着くね、ここって」華奈

「え?華奈ちゃんでも?」ルシェール

「はい、日ごろイタワリのカケラもない生活を送っている、この可哀そうな私でも」華奈

「いや、それは周囲の教育では?」春奈

「身から出たサビとかさ」ルシェール

結局「お姉さん」二人は、華奈に対して「イタワリのカケラ」もない。


「それでね」

三人の攻防戦など、全く興味が無い光は、歩き出した。

その先に小さなお堂がある。

「ここが、明月院の開山堂」光


「うわーーー、小さいけれど綺麗」ルシェール

「あの屋根の形がいいなあ」春奈

「小さいけれど綺麗は、私に通じる」華奈

ここでも華奈独特の「利益誘導型」思考は消えないようである。


「あら、こんなところにお地蔵さまがたくさん」春奈

「華奈ちゃん、そんなところでニンマリしていないで、ちゃんと拝んだら?」ルシェール

「そうだね、お地蔵さんにお願いして、華奈ちゃんをどこかに飛ばしちゃおうか」春奈

「ああ、それがいいかも」ルシェール

「・・・全く、年増女の発想は理解しがたい」華奈

どうにもこうにも攻防戦がやまない三人を置き去りにして光は歩いていく。


「へえ・・・ここにも仏様?」春奈

光が拝んでいる前に、小さな観音菩薩が立っている。

「うん、昔からここの観音様は大好き、何か心配事があると、ここに来る」

光は真剣に拝んでいる。


「へえ・・・でも綺麗な観音様ね」ルシェール

「うーん・・・何か、感じる」春奈

「うん、ここに入って来た時から、何か・・・」華奈

「そうすると、ここで何か?」ルシェール

「うん、光君の身体が光りはじめた」

春奈は、姿勢を正した。


「おやおや・・・こちらにおられたんですか?」

四人の後ろから突然声がかけられた。

柔らかな落ち着いた声。


「あ・・・すみません」

光が向き直る。

「ついついここに」

少し恥ずかしそうな声である。


「え?ここのお坊さん?」華奈

「なんか雰囲気のあるお坊さんですね」ルシェール

「うん、ちょっと・・・何か」春奈

光は、すでに声をかけて来た僧侶の前に立っているが、華奈、ルシェール、春奈は「何か」を感じているようだ。


「最近山崩れがありましてね、普通は、あの観音様は拝めないのです、立ち入り禁止にしてあります」

僧侶は申し訳なさそうな顔をする。


「そうですね、いつも立ち入り禁止の札が」光

「はい、今日は、事前に光様が来られるとのことでしたので、特別に」

僧侶が言い終わると、観音様の前は立ち入り禁止の状態になっている。


「ああ、それは申し訳ありません、わざわざ、私たちのために」光

「いえいえ・・・そんなことはお気になさらず」

僧侶は光に会釈し、丸窓のある方丈に歩いていく。


「特別なことしちゃったんだ」春奈

「いったい、光さんと、あのお坊さんって、どういう関係?」華奈

「・・・というか、あのお坊さんは・・・この世の人なの?」ルシェール

「え?ルシェールも、感じているの?」春奈

「うん、あのお坊さん、歩いているようで足跡が無い、足を地面につけていない」華奈


「いったい、何が始まるのかな」春奈

「あれ?周りの人も固まっちゃっている」ルシェール

「うん、私たちと、あのお坊さんだけ歩いている」華奈

「へえ・・・面白そう・・・」春奈

「どうかしちゃった世界にはいったのかな」ルシェール

「うん、巫女の血が騒ぎだした」華奈

「でも、足が痺れたなんていって、ひっくり返らないでね」ルシェール

「せっかく、魔訶不思議な世界に入ったんだから、いつものような場違いのことはしないでね」

春奈は特に「場違い」という表現に力を込めた。

ルシェールも、深く頷いている。


「うーん・・・まだ若く、美脚の華奈だしねえ・・・」

相変わらず華奈の言葉は意味不明、「お姉さま方」二人に対して、一歩も引く気持ちはない。

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