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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第18話サンドイッチ売り場で、いきなり襲われる光

昼休みの時間となった。

光は、いつもの通り、学内販売の昼食を買いに行かなければならない。

もともと自分で弁当を作る気持ちなどは、全くない。

しかし、いつもと違うことは、光の周りを女子学生が固めていることである。

結局、狭い廊下に人があふれてしまい、歩きづらいことこの上ない。

そんな状態の光に対して、少しずつ男子学生のイライラが高まっているようである。


「おい!」

いつもの通り、サンドイッチを買っている光に突然声をかけて来た男子学生がいる。

「お前、何かしたのか?」

顔はニキビ面、背は高い、ボクシング部員の良夫である。

校内でもキレやすい、喧嘩早いことで有名である。

周囲を囲む女子学生たちが一斉に不安そうな顔になった。


「え?」

光は声をかけられたこと自体がわからない。

聞かれていることもさっぱりわからない。


「え?じゃないだろう!こんなことして女ばかり引き連れられたら廊下も通れなきゃ、弁当も買えない、どう落とし前をつけるんだ!」

ニキビ面の良夫は、怒鳴った。

顔は既に真っ赤である。


「はぁ?落とし前って何?」

まるで茶化したかのようなハンナリとした応えである。

光は良夫を見ようとはしないし、怯えた表情もまるでない。

そもそも、全く良夫や良夫の言葉に無関心なのである。

そして、その光の反応が良夫のキレやすい性格に簡単に火をつけてしまった。


「この!てめえ!馬鹿にしゃがって!」

良夫はキレると何をしでかすかわからない性格である。

周囲の女子学生たちから悲鳴があがった。


「ふざけんじゃねえ!」

いきなり、良夫自慢の右ストレートが光の頬を襲った。

高校総体でも、何度もKO勝ちを奪った右ストレートである。

誰もが、光の悲惨な姿を予想し、目を閉じてしまった。


「ガシャーン」


次の瞬間、廊下のガラスが大きな音を立てた。


「ギャア!」

「痛てぇ!」

全員が驚いて目を開けた。


そして更に驚いた。

なんと廊下の壁にぶつかって倒れているのはボクシング部良夫なのである。

良夫は頭から血を出している。ひどく頭をぶつけたらしい。

襲われた光は、何事も無かったように、ぼんやりと良夫を見ているだけである。


「こいつ!」

ふらつきながら良夫は立ち上がった。

「ますます、許せねえ!」

今度はしっかりとボクシングの構えを取った。

頭から血を流しながら、光に矢継早のジャブを打つ。

しかし、光には何も当たらない。

とにかく当たる寸前に光が身体をわずかにそらせるのである。

ついには、光に拳をつかまれてしまった。


「どうしてこんなことするの?」

光は、相変わらずハンナリとした口調である。

良夫はますます怒りが増幅するけれど、拳をつかまれてしまってはどうにもならない。


「そこまでにしておけ」

光と良夫に声が掛けられた。

ボクシング部の顧問とキャプテンが立っている。

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