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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
173/419

第173話vs格闘王

軽音楽部部長久保田は、早速音楽部顧問の祥子の所に出向いた。


「へえ・・・光君とねえ・・・文化祭で?」祥子

「はい、ちょっとお昼に音楽室貸してもらいたくて」久保田

「うん、構わないよ、どんどん使って」祥子

「はい、助かります」久保田

「で、曲は決まったの?」祥子

「いえ、これからです」久保田

「何だ・・・それなら・・・」祥子

「それならって?」久保田

「ねえ、久保田君・・・」

祥子は、何か考えているようである。

「え?」

久保田は、祥子の顔を見つめた。

「文化祭、私も混ぜて」

祥子はニコニコと笑っている。


「え?クラシック専門かと・・・」久保田

「何言っているの!元プロをなめてもらっちゃ困る」祥子

「と言いますと?」久保田

「若い頃は何でもやったの・・・そうだなあ・・・クィーンやりたい、シカゴでもいい」祥子

「・・・ハードロック路線ですか・・・」久保田

「うん、人生気合さ、それとね・・・」祥子

「音楽部の練習は隔日だから、貴方たちもそれに合わせて使って」祥子

「はい、助かります」久保田

「それから光君が、キーボードね、私ヴォーカルがいい・・・」祥子

「え?早すぎ・・・」

久保田が驚いた顔をして、帰っていく。


「うん、光君、毎日音楽させよう、私も毎日音楽出来るし、光君に逢える」

「やっぱりね、音楽はやるもの、聴くのはつまらない、ミニスカートはくかな・・・」

祥子は久しぶりに胸がドキドキしている。


久保田にとって、少し不安を感じていた音楽室の使用は、あっけなく決まってしまった。

そのうえ、祥子の文化祭参加まで追加された。

「マジかなあ・・・」

久保田は自分の頬をつねったりする。

まるでウキウキ顔で歩いている。


「おい!邪魔だ!」

しかし、そのウキウキ顔は、一瞬にして消え去った。

久保田が廊下に転がされたのである。


「う・・・前田君だ、機嫌悪そう・・・」

「自分からぶつかっといて邪魔って何?まるでヤクザそのもの」

小声の非難が続くが、前田と呼ばれた大男は、そのまま階段を下りていく。


「おい!光!ちょっと出てこい!」

前田は光のクラスに入って来た。

何しろ大男、身長は百九十センチを超え、体重も百キロは超えている。

そのうえ、かなり怒っているのがすぐにわかる。


「斎藤さん呼んできて、春奈先生も」

「ああ、校長先生も」

クラスの別の入り口から、柔道部野村が走り抜けていく。

どう見ても前田の周りには近づけない雰囲気が充満している。


「何か用ですか?まだ一限目の前ですし、準備で忙しいんです」

光は、いつもの通りハンナリと応える。

少なくとも、何も気後れしたところはない。


「うるせえ!この馬鹿野郎!」

「先輩に対して、なんて口の利き方だ」

前田はいきなり目の前の机をたたいた。

バキバキと音がして、机が割れている。


「よくも高田をあんな目にあわせてくれたな!」

「高田は、首を痛めて入院だぞ」

「このままじゃ、俺の気持ちがおさまらねえ!」

「少しでも反省する気があるなら、ここで土下座しろ!」

前田は顔を真っ赤にしている。


しかし、前田の言葉も理不尽である。

レスリング初心者の光に襲い掛かったのは、レスリング都大会二位の高田であり、高田がマットに叩きつけられたのは、「実力差」である。


「やれやれ、結局格闘部って、そういうことなんだ、何でも最後は人を傷つけて自分の思いを果たす、正しいとか間違っているとか理解できないのかな」

「まるで子供と同じだ、程度が低い」

「まあ、しょうがない、みんなごめん、ちょっと机と椅子をどかして、すぐに済むから」

光は、ブツブツつぶやきながら、立ち上がった。


そして光の言葉通り、クラス内に小さな「空地」が作られる。

「この!馬鹿にしやがって!ふざけんじゃねえ!」

光の人を小馬鹿にしたような言い方に、前田は怒りが頂点に達してしまった。

そして「空地」に進むなり、自慢の右ハイキックを光に放ったのである。


しかし、一瞬で勝負がついた。

「あれあれ・・・」春奈が笑っている。

「うん・・・あの技は」斎藤が目を見開いた。

「お見事・・・」校長は腕を組んでいる。


「どうして・・・」

前田は立ち上がれなくなっている。

「空地」に転がり、泣き声をあげ右足を抑えている。


「蹴りの瞬間、膝の関節を光君が打った、それで関節が外れた」校長

「レスリングというより、合気道の技に近い」斎藤

「少し間を置いてから手当てします。痛みを感じさせてあげたい」春奈

「うん、どうせ退学、机も弁償させましょう、いい厄介払いだ」

校長は笑っている。

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