第17話登校時から異変発生!
翌月曜日となった。
光は当然、学校に行かなければならない。
朝ごはんは、それほど食欲がないので、叔母さんに渡された奈良の漬物でお茶漬け。
食欲がない時でも、なんとか胃に流し込むことが出来た。
家事として洗濯だけを行って干した。
しかし、今日の「豪雨となる予報」など何も見ていない。
鞄を持って家を出る。
駅までの道、駅内、電車内でまた、奈良と同じ現象が起こった。
女性と言う女性が光を見るのである。
特に電車内では、周囲が全員女性となった。
しかし、光は何も反応がない。
校舎に入っても、同じである。
相変わらずヨタヨタと歩く光の姿を目で追う、そして周りを歩こうとする女子学生が多い。
光は多少歩きづらさを感じる程度で、表情は何も変えない。
ただ、男子学生は多少違和感があるようだ。
何故、あの弱々しい光の周りに女子学生が集まっていくのか、首をかしげるものが多い。
中には、あからさまに睨む学生までいる。
そんな状態で、光は自分のクラスに入った。
座席に着くと、全員が光に注目する。
特に女子学生は顔を赤らめている者が多い。
「ねえ・・・光君」
隣に座る女子学生由紀が、いつものようにぼんやりとしている光に声をかけてきた。
「え?何か?」
光は、由紀の顔を見る。
光には、由紀の顔が赤らんでいるように見えた。
「うん、何か、光君急に雰囲気が変わったなあと」
由紀はそう言いながら、どんどん顔が赤くなっていく。
「そんなことないよ、何もしていないし」
光自身、雰囲気が変わったと言われても、何もわからない。
「いやいや、変わった、何か私ドキドキするもの、こうやって隣に座っているだけで」
由紀は自分の胸を押さえている。
「うーん・・・よくわからないなあ・・・由紀さん」
「顔が赤いけど、風邪?夏風邪は長引くよ、気をつけないと」
光は、由紀の顔をじっと見る。
途端に由紀は、更に顔を赤くして、ついに下を向いてしまった。
「あのね・・・」
下を向いた由紀がようやく口を開いた。
「うん」光
「雰囲気が変わったと思っている人は、私だけでないの」由紀
「え?」光
「ほら、クラスを見回してごらん」
由紀の声が震えている。
光は、由紀の言葉通り、クラスを見回した。
「あれっ・・・」
光は驚いた。
クラス中の女子学生が光を見て、赤い顔をしている。
それどころか、廊下にもたくさんの女子学生が集まっている。
「どうしたの?何かあったの?」
光自身は、さっぱり理由がわからない。
いつもと同じ制服で登校した、それなのに、先週金曜日と、どうしてこれほど周囲の反応が違うのか。
しかし、わからないものは、わからないのである。
光は、またいつもの通り「まあ、いいや」で考えることを止めた。
光に注目する女子学生は無視し、午前中はいつも通り授業を受けた。




