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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第167話教会前鎮圧とアイス騒動

突然、教会の鐘が鳴り響いた。

「え?」

春奈、楓、華奈が同時に声をあげた。

その鐘の音と同時に鹿は歩き出し、村田やカルロス、スペイン人たちが駆けつけた多くの警官たちに捕縛されている。

空手の若者も地元のヤクザも消え、そして、金剛力士の姿はどこにも見えない。


教会の扉がやっと開き、ルシェールが飛び出してきた。

「光君、怖かった、ありがとう!」

ルシェールは、光に抱き付いている。

本当に大泣きになっている。


「まあ、それは怖かったんだろうね・・・」春奈

「うん、村田さんって、とんでもない人だね」楓

「学園をクビになって、こんなことやっていたんだ」華奈

「まさか、変なグループに入ったのかな」春奈

「あの肥ったスペイン人のカルロスに負けたって・・・」楓

「それにしても村田さん、オリンピック選手でしょ、強いと思うけど」華奈

「それより強いか、あるいは騙されたか、弱みを握られたか・・・」春奈

「鹿が気に入らなくて、奈良を焼き払うなんて・・・」楓

「ああ、光さんのクラスの前の廊下に女子学生が集まって通りづらいぐらいで、風紀違反、学園追放なんていう人だもの、あり得る」華奈

「まだまだ裏があるのかな・・・」春奈

「うーん・・・わからないけれどねえ・・・」楓

「金剛力士様まで、出てくるようだと・・・」華奈

「当分、目が離せないなあ」

春奈も真剣な顔になる。


「でもさ・・・」楓

「もう・・・いいよね・・・」華奈

「ちょっとくっつき過ぎ」春奈

「気に入らないな」楓

「退治したのは。金剛力士様たちだよ」華奈

「光君、見ていただけでさ」春奈

「鼻の下のばしているしさ・・・」楓

「うーん・・・でも、お似合いかなあ、あの二人・・・」春奈

「ああ、悔しいけれど、いいかも、光君には」楓

「それにさ、あの二人が一緒になるとさ、サヴァランとかフレンチトーストがさ・・・」春奈

「そればっかりじゃないさ、トリュフオムレツとかさ・・・美食がふんだん・・・」楓

春奈と楓の話は次第に変化しているけれど、華奈は全く気に入らない。


「もーーー!うるさい!食べ物と光さん、どっちが大事?」

ついに、華奈がキレた。

「あんなフランス女に取られたら、日本女子の面子がなくなる」

「それに、東京に帰ると、近くに住んでいるんだから」

「光さん、無神経だから、誘われればホイホイ一緒に行くに決まっている」

「それも、こんな昔からの、許嫁の美少女華奈を置き去りにしてさ」

「フランスに行っちゃったら、サヴァランもフレンチトーストもトリュフオムレツもないんだよ、わかっているの?」

華奈は、相変わらず、支離滅裂、利益誘導型の論理展開を始めている。

ただ、根本は単なるヤキモチ。


そんな日本人女子三人に、ルシェールがようやく気付いた。

「あの鐘は光さんが鳴らしたの、私たちは鳴らしていないよ」

「アラム語の呪文でしょ?悪を吹き払い、痛むものに癒しを与える・・・」

光は頷いている。



「華奈ちゃん、心配させてごめんね、連絡もありがとう」

光は帰り道、華奈の手をすんなりと握った。

途端に華奈の顔は真っ赤。

ヤキモチ顔から天使の笑みに変わっている。


しかし、春奈と楓は、その「天使の笑み」が、どうにも気に入らない。

「まあ、おやさしいこと」春奈

「どういう風の吹き回し?」楓

「ああ、単に小娘をなだめているだけ」春奈

「そうだよね、あの子、すぐにすねるしさ」楓

「ただ、手をつなぎ過ぎると、つけあがるな」春奈

「うん、あの、つけあがりニンマリ顔本当にいやだ」楓


「で、どうする?」春奈

「コンビニでアイスでも買ってやれば?」楓

「その隙に、華奈を分離するのか」春奈

「簡単でだましやすいし」楓

「そうだね、一番いいかも」春奈

「華奈ちゃんだけは安いお子ちゃま風ので十分」楓

「私たちは高級なの」春奈

「当たり前」楓


春奈と楓の計略通り、まずコンビニに入った。

「ご苦労さんご褒美」でアイスを買った。

結局、母たちの分まで買ったので、大量なものとなった。

ただ、春奈と楓の計略には一部誤算が発生した。

華奈の素早いアイスの取り分けに対応できず、高級アイスは華奈の家の袋に入ったのである。

そのため、「華奈用の低価格お子ちゃま風アイス」は高級アイスに交換を余儀なくされた。


そのうえ、光と楓は、その晩は高級アイスを食べることが出来なかった。

圭子に却下されたのである。


「もう、夜遅いんだから、アイス食べる前に、夕飯残してあるしね」

「また、光君、今日は食べ過ぎだしね、お腹壊してもしょうがないしね」

「楓もそう、夜そんなに食べると、明日体重計乗れないよ」

「ルシェール見てごらんなさい、お腹はキュッと締まっているしね」

光も楓も何も言い返せないほどの説得力であった。


ただ、楓が気に入らないのは、母圭子が却下の言葉を言い渡しながら、「目の前で」美味しそうにラムレーズンを食べていたことである。

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