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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第16話とりあえず東京に帰省

「本人がまるで状況をわかっていないし」楓

「わかった時とか、どうなるんだろう」春奈

「そのまま倒れちゃうとか・・・」楓

「うーん、ありうるよね」

春奈もおそらく倒れることを予測した。


「まあ、その時になったら考えましょう、今気にしてもしょうがない」

楓は春奈の顔を見た。


「うん、今日はお昼食べたら帰るよ、心配だからこの子、杉並の家まで送り届ける」

春奈が言うと、楓は頷いた。

光は相変わらず、ぼんやりとした目で周囲を見ているだけである。


再び父の実家、圭子叔母さんの家に戻り、手作りの柿の葉寿司を食べてから帰路につく。

叔母さんと楓は近鉄奈良駅まで見送ってくれた。

叔母さんも光を見る周囲の女性たちの異常さに目を見張るけれど、今更どうにもならない。

改札口で光が手を振ると、叔母さんは涙ぐんだ。

楓は目を伏せていた。


「やっぱり寂しいんだ、光君帰ってしまうと」

春奈先生が二人の気持ちを察した。

「光君のこと、心配でしょうがないのかな」

「しっかり面倒を見てと言われたよ」

春奈先生がいろいろ言ってくるが、光は頷くだけで何も話さない。

ただ、黙って近鉄特急に乗り、京都駅から新幹線に乗り込んだ。


あまりにも黙っている光に、春奈先生が声をかける。

「どうしたの?ずっと黙っているけど、疲れちゃったの?」


「いや、そうではないんだけど」

光は窓の外を見ていた。

「昨日の国宝館の後から、何か身体が変なんです」

光は春奈先生の顔を見た。


「うーん、暑かったからかな、君にしては歩いたからかも」

春奈先生も、不安になった。


「いや、身体の疲れとか、そういう感じじゃなくて」

光は首をかしげる。


「うん、そうすると具体的には?」春奈先生

「うーん、どう言ったらいいのか、難しいけど・・・」光

「うん」春奈先生

「まず感じるのは、身体がすごく軽い」

光は、まず軽さを言った。


「ふぅーん・・・」

春奈先生は首をかしげるだけだった。

その軽さが「阿修羅」に原因があるのか、そうしたら、どのような影響が実際に見られるのか、見て見ないとわからないことである。

異様に女性の関心を引き付ける力は、午前中の奈良町から始まり、今の新幹線車内でも消えていない。

ただ、光本人だけが気が付いていないのである。


「不思議な力」に関する会話はそれだけだった。

その後は、奈良や学校の話を時々するだけだった。

光本人は品川駅で待ち合わせをしたのだから、そこで別れると思ったけれど、春奈先生は杉並の家まで送ってくれた。

「楓ちゃんとの約束だから」という理由である。


少しだけ、家に入ってもらった。

お茶を出して、父と母の話をした。

奈良の家で話したことと大差はない。

先生は世田谷に住んでいるとのことだった。

「近いから時折、見に来ます」

そういって春奈先生は帰って行った。


再び家に一人だけとなった。

電話だと恥ずかしいので、楓に携帯でお礼のメールを送った。

特に食欲も無いので、すぐにベッドに入る。

ベッドに横になると、昨日と同じ、三十秒もしないうちに、瞼が閉じてしまった。

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