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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第154話坂口の村田評、格闘技談義

柔道部顧問山下と柔道部の斎藤は、柔道界の超大物坂口のところに出向いた。

坂口は選手としてオリンピックで二回金メダルを獲得、その後は全日本監督として辣腕を奮った。

また、警察関係者は上層部に至るまで数十年、柔道の指導を通じて懇意である。

その上、特異な危険察知能力を評価され、公安関係の役を請け負っている。

その能力も、坂口のもともとの家系である石清水八幡の禰宜から由来しているらしい。

その様々な経歴や能力からなのか、時の首相とは青年期から懇意、肝胆相照らす仲でもある。


「そうか・・・レスリング部でも、そんなことがあったのか・・・」

坂口は腕を組んだ。

坂口はかつて、柔道初心者の光が、柔道部員斎藤をはじめとして、全国でもかなり実力の高い選手を簡単に投げ飛ばした場面に立ち会っている。

そして、その時に「見えた」異常な影が気になっていたところ、「阿修羅」が夢の中に出た。

阿修羅の意図は「光を護れ」であった。

それゆえに、夏のコンサート前から光の動きを注視してきたのである。


「はい、呼び出された野村も唖然とするぐらい下らない理由で」山下


「馬鹿者、俺たちだって下らない理由で、光君を呼びつけて、返り討ちになっただろうが」

坂口の指摘も厳しい。

光は、授業の乱取りで都大会三位の野村を投げ飛ばし、それに腹を立てたオリンピック出場選手の前顧問を手も無く捻り倒した。

そのことに疑念を感じた坂口と山下によって、柔道場に呼びつけられたのである。

坂口に厳しくたしなめられ、山下と斎藤は下を向いた。


「それで、レスリング部のクビになった顧問は・・・村田か?」

坂口は話題を変えた。

どうやらレスリング部前顧問を知っているようである。


「あ、はい、お知り合いですか」山下

「うん、よく知っている」坂口

「とにかく学生たちにも評判が悪かった」山下

「ああ、オリンピックの選手仲間でもそうさ、嫌われ者」坂口

「はい」山下

「何しろ理屈っぽい、完璧主義者でプライドが高い」

「例えばあいつが四位でおれが金メダルの時、普通なら祝福するだろう・・・」坂口

「はい・・・」山下

「それがな、あんな相手、三分もかけるのか・・・だ・・・自分は四位敗退のくせにな」

「あいつの負け方も変だ」坂口

「変って言いますと?」山下

「K国の対戦相手、あいつより相当格下なんだけど、途中で力を抜いたように負けている」坂口

「え?」山下

「それでな、試合の後、身に着けたこともない、高級スーツとロレックスだぜ、選手仲間では八百長って言われていたんだ」坂口

「オリンピックで八百長?」

これには、山下と斎藤が驚いている。


「ただな、それからずっと羽振りがいい」

「横浜の一等地に住んでいるし、車はベンツ、それも千万単位のを毎年変える」

「どう考えてもスポンサーが少ないレスリング選手の報酬では、そんな暮らしは出来ない」

「態度はますます横柄になるし、くだらねえ完璧主義もひどくなった」

「おまけに、執念深いったらないぞ」

「あいつなら絶対仕返ししてくる、取りあえず学園内だけでも光君を護れ」

「まあ、ただ光君の場合は本気になると・・・」

坂口は、考え込んだ。

「ああ、光君なら負けることはないけれど、逆に相手を殺しかねない」

「そこをお前たちが見切って、うまく止めろ」

坂口の顔は真剣である。

これには、山下と斎藤も姿勢を正した。


「取りあえず学園内の相手は前田です」

ずっと黙っていた斎藤が口を開いた。


「ああ、総合格闘技ってやつか・・・」坂口

「はい、その動きが多すぎて、都大会には出してもらえなかったとか」斎藤

「まあ、そこまですることはないと思うが、村田ならありえる」坂口

「坂口先生は総合格闘技のご経験は?」山下

「ああ、あるよ」坂口

「へえ・・・知らなかった」斎藤

「うん、昔の格闘家はみんなやっているさ、今の人は競技成績至上主義で面倒なことはやらない」坂口は意外なことをいう。

「ああ、意外かもしれないけれどね、あれは有効さ、何しろ世界の柔道界は、いろんな選手がいる」

「日本人のタイミングとは異なるタイミングで技をしかけてくる、なかにはレスリングそのものをしかけてくることもあるのさ」

「そういう時に、柔道だけを練習していると一歩対応が遅れる」

「それで簡単にポイントを取られてしまう」

「あまりきれいな柔道は、それだから世界では負けてしまう」

「日本だって、野村君みたいな真面目な柔道じゃ勝ち進めないだろう」

坂口は説明を加えた。

山下も斎藤も頷いている。


「ただね、総合の超猛者が例えば、レスリングだけの試合では負ける」

「総合の猛者もボクシング大会では負ける」

「競技そのものが違うと考えてもいい」

「まあ、格闘技というのは、結局タイミングの勝負、力も必要な時もあるけれど、やみくもに力めばいいってものではない」

「それについては、光君を見ていれば、よくわかるだろう」

坂口は斎藤を見た。

斎藤も光に投げつけられた経験がある。

また、レスリング部高田は、足払いだけで宙に舞い上がった。

「坂口先生」

斎藤は、坂口に特別指導を頼み込んだ。

坂口も頷いている。

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