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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
153/419

第153話奈良町の仲間、そして東大寺に立つ二体

「家に帰って光君の話ばかりするの」

「あまり、そればかりやっていると迷惑になるって叱るんだけどね」

美紀は肩をすくめて光を見る。


光は何も反応がない。

ただ、ヒイハアいって珈琲豆を挽いている。

それでも何とか挽き終えて珈琲を淹れ、テーブルの上に置いた。


「うん、お父さんと同じ味」美紀

「へえ・・・知らなかった、美紀さん、光君のお父さん知ってらっしゃるの?」春奈

「うんうん、春奈さんのお母さんの美智子さんも、よく知っている」美紀

「そうかあ・・・みんな奈良町の仲間か・・・」春奈

「その中で、光君のお父さんを射止めたのが、菜穂子さん、光君のお母さん・・・でも若くして亡くなっちゃうしね・・・」美紀

「うん、写真で見たけれど、本当にきれいな人ですね」春奈

「うん、ピアノが上手で・・・いつも光君と弾いていたな」美紀は涙ぐんだ。

「うん、後で菜穂子さんのピアノ見ます?」春奈

「うん、是非・・・でも見たら泣いちゃう」美紀

「光君、その時ピアノ弾いて」春奈

美紀と華奈も光を見た。


「うん」

光は頷いている。


「ところでね、さっき圭子さんから連絡あったんだけど」

美紀は突然話題を変えた。

多少涙は残っているが、少し厳しい顔になった。

春奈としても、今日の美紀の突然の訪問の目的がこれであると確信した。


「大聖堂でクリスマスのコンサートをやるんだって?」

「それにナタリーとルシェールが絡んでいて、神父つまり、あのピエールの大聖堂ってことなんだけど・・・」美紀


「え・・・はい・・・」

「それで、少し確認したいことがあって、もう少ししたら奈良に行こうかと思っていました」

春奈も、圭子と美紀の情報の速さに舌を巻く。


「うん、そこまでわかっていれば話が速い」

「ただね、コンサートそのものはいいんだけど・・・」

「圭子さんによると、それにかこつけて、とんでもない化け物が出るらしい」

「闘いの結果次第では恐ろしいことに・・・まだ読めないんだけどね」

「それもあって、興福寺の八部衆とか十二神将が出たがっていてね」

「ああ、あの東大寺の門の二体は、隠れて屈伸運動始めたらしい」

美紀の顔は真剣である。


「東大寺の前の二体・・・」

珈琲を飲みながら光は、顔をしかめた。

そしてしかめた顔ながら、目が異様に光っている。


「金剛力士様たちですか?」

美紀が光に対して、慎重な言葉づかいになった。

これで、美紀も光の中の阿修羅を認めていることが、はっきりした。


「うん、あいつらさ」

「とにかくゴツイし、顔が怖い」

「喧嘩では、案外強い、阿修羅にはかなわないが」

光の口調とも全く異なっている。

何しろ力強い。


「阿修羅様、金剛力士様と格闘したことあるんですか?」

春奈も興味ある質問をする。


「ああ、遊びでね」

「でも力と速さでも阿修羅の比じゃない」

「動きのなめらかさは、大人と子供」

「ただ、どうしても一度は、この阿修羅をギャフンと言わせたいらしい」

「それは地蔵さんから聞いた」

光の目は、異様に光出している。


「それで光さんは、大丈夫ですか?」

華奈は、自分にとって一番心配なことを聞く。

「ああ、光君には迷惑をかけない約束だったんだけど・・・」

「相手の出方にもよるな・・・」

「ただ、今度の闘いは、何よりこの子の体力が必要、まだまだ食が細いから、面倒をみてあげて」

その瞬間、光の目の光が消えた。

途端に光は寝息を立てている。


「疲れちゃったのかな」華奈

「うん、そんな感じ」春奈

「この間にこの子、連れて帰るね」美紀

「え?まだ早いよ、ピアノ聞いていないし」華奈


「そうだねえ・・・久しぶりだから聞きたいよね・・・」美紀

「光君起きること出来る?」春奈

「キスすれば起きるかな」華奈

「だめ、まだ早い」美紀


そんなバトルで光は目を覚ましてしまう。

そして、そのまま、ピアノを弾きだした。

「ショパンノクターン一番・・・」春奈

「菜穂子さんの大好きな曲だよ・・・泣けちゃうよ・・・菜穂子さん・・・」美紀

ピアノの上に、光の母菜穂子の写真が置いてある。


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