第139話ルシェールと光の婚約発表?それと光の耳・・・
「わーーーっ!」
「ほんとにルシェールだ、いつから?」
「ほんと、きれいになって!」
春奈まで大はしゃぎ、大興奮している。
そして、そのままリビングに招き入れた。
「何だ、光君が言っていたフランス人は、奈良のルシェールだったんだ」春奈
「もうはやく奈良のルシェールって言わないから」華奈
「光君のそういういい加減さが、トラブルを起こすの」春奈
「ねえ、ルシェール、光さん、ホテルでぼーっとしていなかった?ごめんね」華奈
「またすぐにルシェールのことわからなかったとかさ」春奈
「ねえ、子供の頃あんなに一緒に遊んで」華奈
「でも、華奈ちゃんだって、よく覚えていなかったんだって」
春奈の言葉の裏には光への批判と、華奈への「反撃」が込められている。
春奈と華奈の、テンポの速い会話にルシェールは笑いをこらえきれない。
ただ、光はポカンとして聞いているだけ。
しかし、その光に、少しずつルシェールがすり寄っていく。
「それにしても、ルシェール美人になったよね、昔から可愛かったけれど」
春奈はお茶を出しながら、ルシェールのあまりの美人さに驚いている。
確かに髪は輝くブロンド。
肌は真っ白、きめが細かい。
顔は、天使のように愛らしい。
そして何よりスタイルが抜群である。
胸とお尻がほどよく発達し、ウェストはキュッと締まっている。
未だに「幼児体型」から抜け出せない華奈とは、段違いである。
「いえいえ・・・そんなことは」ルシェールは顔を赤らめる。
まるで大輪の薔薇が咲いたような輝きである。
「それで・・・クリスマスコンサートって・・・」
じっと押し黙っていたというか、声を出すことが出来なかった光がようやくルシェールに尋ねた。
「ああ、ごめんなさい、急にあんな話しちゃって」
ルシェールは光に謝っている。
久しぶりのルシェールの登場に興奮していた春奈と華奈はやっとクリスマスコンサートの話を思い出した。
「まったく最初からちゃんと言わないから怒られるの」春奈
「ほんといい加減、私がついていないと何もできない」華奈
春奈と華奈は、それぞれ「勝手」なことを考えているが、次のルシェールの言葉で表情が一変することになる。
「それでね、その時にね、光君と婚約発表しましょう、やっとだね」
ルシェールは満面の笑みを浮かべている。
しかし光はキョトンとした顔・・・春奈は茫然、華奈は口を「への字」に結んでいる。
「・・・やっとって何さ」華奈
「どうしていきなりなのに・・・やっと?」春奈
「どうして光さんがルシェールと婚約?私が先約のはず」華奈
「英語すらちゃんと出来ないくせに、フランス語?」春奈
あまりの突然の話に華奈と春奈の頭は混乱を極めた。
頭の中でさえ、たいした反発が出来ていない。
ただ、光からの反応は三人を失望させることになった。
その、光の反応は、誰が聞いても頭を抱えるものである。
「え?クリスマスコンサートでおでんを出すの?」
「おでんと、イエス様もマリア様も似合わないと思うけれど」
「でも、合うとすれば味噌かなあ・・・」
「いずれにしても寒い時期だからいいかなあ・・・」
つまり光の「いい加減な耳」は、「こんやく」とは聞いていない。
「こんにゃく」と聞いているのである。
「おでんの発表に、どうして僕が?」
光が言いかけた時である。
ルシェールが泣き出した。
「もう・・・ひどいよ、光君!」
「いい加減な耳ってことは知っていたけれど」
「本当に思いつめてやっと言えた婚約発表を・・・こんにゃくなんて」
「もう・・・許せない!」
ルシェールは真っ赤になった。
それで、あろうことか光に抱き付いて泣いている。
そして光は、ルシェールの「圧力」に、そのまま押し倒された。
それも仕方がない。
華奢な光より、ルシェールのほうが体格も立派で体力もある。
「許せん!」春奈
「だめ!」華奈
「おでんで十分」春奈
「辛めの味噌でいい」華奈
言っていることがよくわからないが、普段の内面では対立する春奈と楓は協力を実施した。
ルシェールを光から、「力づく」で引きはがしたのである。
「それで、どうして婚約発表なの?」春奈
「私が先約のはず」華奈
「光君がいい加減なことは認めるけれど」春奈
「私だっていつかは、大人の体型になる」華奈
特に華奈の言葉は、意味不明であるが、二人協力して「外敵」に立ち向かう。
「ああ、四歳の頃ね、光君が二歳か・・・」
「奈良の教会でね、一緒に座って手をつないだの、その時にイエス様とマリア様の前で将来を誓い合ったの」
ルシェールは、尋問者二人にとって、「聞き捨てならないこと」を簡単に言ってしまう。




