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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
130/419

第130話阿修羅の思惑?

またしても炎天下になった。

楓と圭子は、コンサート翌日の朝、奈良に帰る。

春奈と華奈、少しふらついている光は井の頭線の駅で見送った。


「じゃあ、春奈さん、お願いね」圭子

「倒れないようにしっかり食べてね」楓

「華奈ちゃん、しっかり見張ってね」圭子

「春奈さん、面倒だったら、あの家で暮らしたら?」楓

「とにかく、また何かあったらすぐに連絡をお願いします」圭子

「すぐに飛んできます」楓

いろいろと心配して、声をかけてくる。


「本当にありがとう」

弱々しい、いつもの光の口調。

それでも、お礼を言った。


「また、奈良にも行きます」

光は微笑んだ。

途端に圭子と楓が泣き出した。

そして手を振って改札口から消えていった。


「叔母さんも楓ちゃんも寂しいんだよ」春奈

「私だって寂しい」華奈

「私も、光君と住んじゃおうかなあ・・・」

春奈は楓に言われたことを、考え始めている。


「そうだねえ・・・」

華奈も考え始めた。

「これから光君ね、いろんな所からお誘いがある、特に音楽関係からかな」春奈

「うん・・・」華奈

「光君と音楽したいのは晃子さんだけじゃない、いろんな人が注目している」春奈

「そうだね、客席の後ろから聞こえて来た」華奈

「光君、音楽の練習なら断らないし・・・」春奈

「うん、晃子さんのマンションにもホイホイついて行ったし・・・」華奈

「まあ・・・そのホイホイがあったから、あの鍵とか、あの会長や集団を潰せたんだから・・・」春奈


「阿修羅・・・もしかしてわかっていたのかな・・・それで・・・行ったのかな」

華奈の声が震えた。

「うん・・・この学校に今年から私と華奈ちゃんが来たこととか。ボクシング部はともかく、柔道部と音楽部のこととか・・・」

春奈の声も震えた。


「そうでないと・・・ありえない・・・春奈さん・・・」華奈

「うん・・・コンサートの日とあの集団との大乱闘も」春奈

「うん・・・それも阿修羅の思惑かな・・・」華奈

「ただ、光君、体力全くないから、それを支えるために私とか、圭子さん、楓ちゃん・・・華奈ちゃんをつけて・・・か・・・」春奈

「うん、そうでないと・・・光さん・・・コンサートで指揮なんかできる体力があるわけない」華奈

「光君のことを何とか支える人が必要だった」春奈

「私たちも・・・ずっと阿修羅に導かれて・・・」華奈

「うん、阿修羅の思惑にほぼ沿って・・・」

春奈の声は真剣になった。


「お願い・・・光さんと一緒に住んで」

華奈ははっきり言い切ってしまう。

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