第129話光の寝言?
華奈は真っ赤な顔のまま、沈み込んでしまった。
少し涙を浮かべている。
「私なんか、晃子さんみたいにヴァイオリン上手じゃないし、晃子さんほど美人じゃないし・・・」
「あ・・・言い過ぎたかな」春奈
「いや、現実を知らねば」圭子
「でもねえ・・・もう涙大粒だよ」楓
確かに華奈は顔を覆って泣き出している。
「う・・・」
突然、光の口が動いた。
「何?寝言?」春奈
「おなか減ったとか」圭子
「柿の葉寿司とか・・・」楓
三人が光の次の言葉に注目した。
華奈は声を抑えているものの、大泣きになっている。
「華奈ちゃん・・・」
その光の口から華奈の名前がでた。
しかし、春奈の言う通り「ほぼ寝言」のようだ。
「何言うんだろうね」圭子
「柿の葉寿司に決まっている」楓
また少し光の口が開いた。
「可愛いなあ・・・」
光の寝言はそこまでだった。
またしても光は眠り込んでしまった。
華奈はますます真っ赤になった。
「ほら!」春奈
「どんどん」圭子
「取られちゃうぞ、ライバル多いんだから」楓
「でもさ、なんで春奈さんが素敵って言わないんだろう」春奈
「それを言うなら、まだ若い楓って言って当たり前」楓
「みんなうるさい!」
攻防戦を無理やり制して華奈は光の隣に座った。
そして光の胸に濡れた顔を埋めている。




