第125話首相への連絡
大きな閃光がきらめくのを刑事と坂口は見ていた。
あまりにも眩しく二人とも目を閉じてしまった。
「あれ・・・」
やっと目を開けることが出来た刑事がホール前の広場を見回している。
「うん・・・」
坂口も驚いた顔をする。
「誰も・・・いない」刑事
「どこへ・・・」坂口
二人が驚いたように、極秘集団や機動隊、警察であふれかえっていたホール前広場は全く人がいない。
いつもの静かなホール前広場の状態に戻っている。
「しかし・・・地蔵といい・・・阿修羅といい、凄かった」刑事
「そうか・・・お前にも見えていたのか」坂口
「ああ、俺も実は・・・相模寒川の禰宜の血筋だ」
刑事の声が震えている。
「む、話は後だ、出て来たようだ」
坂口は振り向いた。
坂口の言うように、ホールから聴衆が出てきている。
いまだに涙を流し続ける人や、演奏の話で盛り上がっている人が多い。
そして全員が満足の表情を見せている。
私邸でくつろいでいた首相の携帯に突然、公安警察のトップから連絡が入った。
「すぐに首相官邸に来てください」
「私邸から官邸まで完全警護します」
「警護車両は今、私邸の前におります」
首相は怪訝な顔をしたけれど、確かに信頼をしている公安警察のトップの声である。
窓から「警護車両」も見えている。
首相は素早くスーツに着替え、警護車両に乗り込んだ。
警護車両には携帯に電話をかけて来た公安警察のトップが座っていた。
「いったい何事ですか」
首相としても、あまりの突然のことで意味がわからない。
「いや・・・おそろしいことで・・・」
沈着冷静な公安警察のトップの声が震えている。
「何か、容易ならぬことか・・・」
首相の声も緊張する。
「はい・・・にわかには信じられないでしょうが・・・」
「詳しくは官邸前の広場で・・・」
公安警察のトップはそこまでいって口を閉ざした。
「官邸前の広場・・・とは・・・」
首相もこの言葉の意味を考えた。
官邸の中ならまだわかる。
官邸前の広場とは・・・
首相は、厳しい顔で黙り込む公安警察のトップの横顔を見ていた。
首相官邸が見えて来た。
黙り込んでいた公安警察のトップが口を開いた。
「既に官房長官、法務大臣、警視総監が、お着きです」
「それから坂口様もお見えです」
「何?」
首相は公安警察のトップの言葉に声を失った。
何故、官房長官をはじめ、法務大臣、警視総監、それに旧友の坂口まで官邸にいるのか、全く理解が出来ない。
ただ、それだけの人が集まる以上、容易ならざる状況とは、理解した。
警護車両は官邸の玄関前に停車した。
首相は公安警察のトップに導かれて、官邸前の広場に足を進めた。
「何?」
首相の目に異様な服装をした数百人の集団が見えて来た。
全員が黒いヘルメット、黒いサングラス、迷彩服を着ている。




