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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
122/419

第122話阿修羅vs会長

「グワッ」「グェッ」「ギャア」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

凄まじい程の男たちの悲鳴が聞こえて来る。

そしてまるで旋風から竜巻のようになった阿修羅の回転に触れた男たちが、次々に空中に巻き上げられ、そして地面に叩きつけられた。

叩きつけられる力があまりにも強いのか、二度と立ち上がる男はいない。

阿修羅の竜巻はますます速度と大きさを強め、広場全体に広がった。


そして、ついに阿修羅の回転が止まった。


「極秘」集団の男たち全員が、広場に倒れている。

しかし、誰も血を流しているものがいない。

ただ、全員が四肢の関節を外されている。

そのため、誰もホールまで進むことは出来なかった。



「ふん!」

阿修羅は地面に横たわる会長の前に立った。

地蔵も宙からおりて来た。

身体の大きさも、普通の人間の大きさに戻っている。


「御仏の御罰です」

地蔵が会長に言葉をかけた。

会長は下を向いている。


地蔵は錫杖の鈴を鳴らした。

「全員を捕縛します」

すると倒れていた機動隊員や警察官が全員立ち上がった。

驚くことに全員が全く無傷だった。

警察官は機動隊員と協力し、「極秘」集団全員に手錠をかけていく。


「さあ、会長とやら・・・」

「あなたにも・・・」

地蔵が会長に再び声をかけた時である。


「ふっ・・・」

会長が笑った。

そして酷薄な笑いを浮かべた。


「ふん、物の怪だか、地蔵だか、阿修羅だかは知らねえがな・・・」

「すぐに子分たちの手錠を解かなければ、とんでもねえことになるぞ」

「あの駐車場の下にな」

「ホールごと吹き飛ばす爆弾を仕掛けてある」

「まあ、ありえねえと思ったが、念のためだ」

「それも時限爆弾だ」

「この俺しか場所はわからねえ」

「小さな爆弾だ、素人には全くわからねえ」

「専門家にも知られてねえ」

「何しろ世界に一つ、それも昨日俺がこしらえた爆弾だからな・・・」

「さあ・・・」

会長は酷薄な笑みを浮かべて時計を見た。


「ふん・・・あと五分だ」

「ここからどんなに走っても五分ギリギリ」

「だから今すぐ、子分の手錠を解かないとな・・・」

会長の目には狂気が宿っている。



ホームエントランスの前に坂口と刑事が並んで立っている。

「まさか・・・」

坂口を見た刑事が声をかけた。

「ああ・・・そのまさかだ」

坂口の声が震えた。

「目の前で起きていることは・・・」刑事

「本物の地蔵菩薩と阿修羅の出現だ」坂口

「いったい・・・こんなことがどうして・・・」刑事

「いや、俺にもわからん・・・しかし・・・」坂口

「しかし・・・とは?」刑事

「ほんの二週間ほど前だ」坂口

「うん」刑事

「あの阿修羅が夢に出てきた」坂口

「・・・まさか・・・それで?」刑事

「ここのホールの場所で、あの光という少年を護る手伝いを頼まれた」坂口

「・・・よくそんなものが見える・・・」刑事

「それは・・・血筋だ・・・もともとは石清水八幡の禰宜の家系だ」

「柔道選手を数多く育て、闇社会に沈んだ選手のことを知っているから公安の仕事を受けているわけではない」

「様々な霊のようなものが見えるから、受けているんだ」

「そしてあの光君は、阿修羅が宿っている」

「阿修羅の力を宿すことのできる唯一の家系に生まれた」

「そして、宿すことのできるものは男子だけ、今はあの光君だけだ」

坂口は、刑事にとって信じられないような言葉を続けた。

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