第12話光に変化が発生している・・・阿修羅?
「へぇーーー」楓
「ほぉーーー」春奈
二人ともあっけにとられるけれど、「お目付け役、付き添い役」として来た以上、光についていくより他は無い。
それでも、しっかりと観察をする。
「でもさ、楓ちゃん」春奈
「うん、あの足、妙に元気だよね」楓
「となると・・・夜中に足がつったとか言わないかな」春奈
「ああ、ありうる、まちがいなし」楓
「その時呼んで」春奈
「うん、わかった、必ず」楓
「想定外でね、いつもあんなに速く歩かない、学校では」春奈
「おそらく、ヨタヨタでしょ、全く」楓
「ほんと!あたり!」春奈
光の歩く後ろから、いろいろなおとしめる声が聞こえるが、光は全く聞く素振りもなく、どんどん歩いて行ってしまう。
その上、光は、あっという間に地下道を抜け、春日大社の参道に入ってしまった。
「何か、嬉しそうだよね」楓
「うん、飛び跳ねて歩いている」春奈
「一体どうしちゃったんだ」楓
「まあ、あんまり飛び跳ねて鹿みたいになったら恥ずかしいし」春奈
「ああ、そうなったら逃げて帰る?」楓
「まさか、鹿せんべい食べさせる」春奈
「あ・・・面白そう!」楓
後ろで、またしてもロクでもないことを言っているが、光は何も気にする様子が無い。
ただただ、嬉々として歩いていくだけである。
春日大社本殿や若宮神社の参拝を済ませると、新薬師寺の方角に歩き出す。
「良かった」春奈
「うん」楓
「あの調子で、東大寺なんていったら大変」春奈
「きっと、おそらくお地蔵さんと阿修羅を見て、ハイになって歩いていると思うけど」楓
「きっと帰ってぐったりだと思う」春奈
それでも、楓も春奈も異変に気づいたようだ。
「ところで光君、何か霊とか連れてきちゃったのかな・・・」楓
「まさかねえ・・・ついてきたその霊だって普通ならすぐに消えるっていうか、元に戻るの、つまらない対象だったらね」春奈
「さすが、巫女の一族」楓
「あのね、あなたも同じなの」春奈
「まあ、そうなんだけどね・・・」楓
「でも、おそらく、急にあんなに歩けば、身体には負担が生じている」春奈
「筋肉ってそんな簡単に鍛えられないしね」楓
「光君もともと筋肉なんてないし・・・うん、これはこれで厄介だなあ・・・」春奈
「東京に戻ってからも心配」楓
「・・・ところでさ、楓ちゃん、本当に変だね」
春奈の顔が真面目になった。
飛び跳ねるように歩き続ける光を見ている。
「うん、わかる、本当に変」
楓も真面目な顔になった。
「もしかして、本当に出て来ちゃったのかなあ」春奈
「まさか・・・阿修羅?」楓
「うん、光君の背中に乗っているような気がする」春奈
「そうだねえ・・・でも大丈夫かなあ?阿修羅って、出てくるとなると大変だよ」
楓が不安を口にした。
「阿修羅に何か考えがあるのかな、それなら、対応しないとね」
春奈は何か考えている。
「私の母さんにも協力させるし、私も東京に出るかな」楓
「わぁ、ありがとう、助かるなあ」春奈
「まあ、いいさ、阿修羅が出て来たのは、数百年ぶりだ、楽しみましょう」
楓は不思議なことを言った。




