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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
117/419

第117話アンコールの光独奏と母の思い出

光は、ブラームスの後と同じように何回もステージと袖口を行き来し、音楽部員を立たせ拍手に応えるけれど、アンコールの声がやまない。


「先生・・・」

これには、さすがの光も困った。

どうやって、この興奮状態を収めることができるのか、わからない。


「光君・・・あとオーケストラで何も練習していなから・・・」

祥子先生も光の考えていることはわかっている。

しかし、もう一曲何か演奏しないと、聴衆が収まらないことはわかる。

「お願い・・・光君の弾きたい曲でいいよ・・・」

祥子先生は光の耳に口を寄せた。


「わかりました」

光は小さく頷いた。

そして祥子先生に会釈をした後、再びステージに出た。

聴衆に向かって深くお辞儀をして、舞台の中央のピアノの前に座った。

光は目を閉じた。

全員が光の動きに注目する。


光が静かにピアノを弾きはじめた。


「うっ・・・」

「ショパンのノクターンだ・・・」

「しかも第三番・・・」

音大生がすぐに曲を言い当てた。

「何か・・・いいなあ・・・」

「ピアノタッチといい、フレーズといい・・・」

「あの・・・間がはかなくて・・・」

「どこか心の奥で泣いているような・・・深いなあ・・・」

「あの子・・・ショパン弾きでもいいかなあ」

「私もうかうかしていられない・・・」

「あの子がピアノのプロになったら、仕事減る」

プロ音楽家たちは、様々なことを言いながら、驚きを隠せない。



「お母さん・・・」

光を見ながら泣いている圭子に、楓が心配そうな声をかける。

しかし、その楓も泣き出している。


「うん・・・わかるよ・・・」

「あの曲、光君のお母さんがよく弾いていた曲・・・」

「そして光君が初めて私たちに聞かせてくれた曲だもの・・・」楓


「光君、きっとお母さんのこと思って弾いている」

春奈まで泣き出している。

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