プロローグ
日本最大級オンラインゲーム「エンピリアルオンライン」
総プレイヤー数は一千万人とも言われている人気ゲーム。
このゲームが人気を博している理由
一つ、日本初の本格的VRMMOであること。過去に何作も出ているが、それらをはるかに凌駕するほどのクオリティを誇っている。
一つ、アイテムの加工から、戦闘スタイル、装備の種類などの自由度が高く、それぞれが好きなようにプレイすることができる。
一つ、攻略サイトは規約で禁止になっている。そのため、それぞれが模索しながらプレイをし、情報というものにも価値がでるようになっていた。
これらのことにより日本人だけでなく、諸外国のプレイヤーも次々に参加していった……。
「ヤマト、装備もアイテムも準備できてるよね?」
「もちろん、そういうユイナは?」
ヤマトはユイナの質問に肯定の返事を返すと、彼女に同じ質問を返す。
「もっちろん、みんなも大丈夫だよね!」
ユイナが声をかけたみんなとは、今回のクエストを一緒に攻略しようと集まったメンバーだった。
「おー!」
「当然でしょ……?」
「大丈夫」
「……(こくり)」
共に組んだ仲間、そしてヤマトとユイナを合わせて総勢六人のパーティ。
彼らがいるのは禍々しい雰囲気漂う城の中だった。
「いよいよグランドクエスト最終章だね!」
そのユイナの声掛けに一同は感慨深い表情で頷いていた。
これまで幾度ものアップデートを重ね、バージョン10になって本編の最終クエストが実装された。実装から既に半年の月日が流れていたが、未だこのクエストをクリアしたものはいなかった。
そして、日本サーバーで攻略一号の最有力と名高いヤマトとユイナたちがついに動くということで、他のギルドから実力者が集まってきていた。
彼らのレベルは全員千。今回のアップデートで上限がレベル九百から一気に千に上がったことで、多くのプレイヤーはレベル上げに時間を費やすこととなる。
ヤマトとユイナは最も効率の良いレベル上げをして、他のプレイヤーに先んじてレベルを上げきっていた。
ここで二人が選んだのは千レベルの動きを完全に把握すること。新しいスキルを覚えてもそれを使いこなせなければ意味はなく、どんな効果があるか確認しなくても自然とわかるようになっておきたいという考えだった。
今回参加したメンバーは、所属しているギルドは異なるものの元々二人とはフレンドであり、彼らとともに連携の練習もしていた。
「それじゃ……突入前に、ヤマトお願い」
これまでユイナが仕切っていたが、あくまでこのパーティのリーダーはヤマトであるため戦闘前の声掛けを譲る。
「……ここまでかなりの訓練をやってきた。情報もできる限り集めたつもりだ、俺たちなら勝てる。初クリアの一覧に名前を刻もう!」
ヤマトの言葉に五人の表情は意気揚々としたものになり、気合が漲っていた。
「それじゃ、いくぞ!」
大きな扉が開かれていく。この先に待っているのは、最強の魔神と呼ばれる災厄の神だった。最強と呼ばれるプレイヤー夫婦率いるパーティと魔神の戦いが始まる……。
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