限定生命
一編
●限定生命●
明日が見えなくなる前に
キミに会いに行くよ…
限定生命
教壇の横に立って
自己紹介した転校生を
頬杖をついて 眺めていたの
どこか おどけたキミのその姿を
こんなにアナタを思い
こんなにアナタを知るなんて
その頃は 思ってはいなかった
だって…
ワタシは臆病だから
アナタと話せるなんて
少しでも…思えるハズがないから…
夢のように アナタを考えていたんだ
キミの笑顔 キミの声 キミの道 キミの夢
観るだけしかできないことだと
決め付けて消してたの
気になる この思いを……
それでも…っ
ある日から 席がとなりになって
キミはワタシに話しかけて
その笑顔をワタシに見せてくれた
そしてワタシの今まで
抑えてた思いの 紐を解いてくれた
キミが笑って ワタシは笑って
キミが喋って ワタシも喋った
夢のようだと信じれないくらいに
とてもとてもとても充実した日々
今までの生き方も全部忘れそうだよ
それぐらいにアナタのことが…
好きでいるから と
アナタもそう言ってくれたからかな
いつまでも一緒に居られたなら
今はそれ以上に幸せなこと
思いつけないんだよ
一生懸命に考えても……
それなのに…っ
キミは また遠くの場所に行くの?
キミも知らない場所に行っちゃうの?
もう逢えないなんて言わないでよ
どこかで逢えるかもしれないよ…
こんなに思える人なんて もう現れない
だから「ありがとう」なんて言わないで
別れの言葉なんかに使わないで
アナタの方へは もう向けない
上を向いても 下を向いても
溢れても こぼれ落ちてもくれなかった
愛する生命
限定生命。