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フェンス。ドール。

二編

●フェンス●


そのフェンスには

何かの茎が巻きついていた

うねりを利かせて

ぐるぐると巻きついていた


そこから離れることは無い


枯れるまで もう



そのフェンスを

何度も何度も蹴り上げたら

そこに穴ができた

フェンスの針金が

ぐちゃぐちゃになっている

茎はフェンスから離れない


血すらも交えて


二度とつながらない



時折カエルがあとを継ぐ

その場所に腰を下ろしたが

カエルはすぐに飛んでいく

フェンスは主を持ち得ない

血生臭さと草の臭い

純粋無垢な雨が降り


地べたを緩めて


足を埋めて



フェンスに絡まるのは

新たな針金

フェンスのソレとはまた

別のモノだが新たな針金

ヒトの手により作られて

ヒトの手により壊されて


ヒトの手によりソレはまた


甦るように 強いられる



その夢は空しいモノだった

痛みは誰にも渡らぬが

繋げたようにみえたのは

ただの幻だった

繋がるハズがなかったのだ

ソレは針金だから


針金は絡み合うことでしか


二度目の繋がりを作れない



●ドール●


暗闇のなかにヒカリを灯して

操り糸に吊られて話をするの

「おお。ワタシはここよ」

捕らわれの身を演じて

紙の窓に声をぶつけていくの

「早く。早くワタシを助けにきて」

時間が経てば誰かがくるの

ワタシを助けに誰かがくるの


知らないヒトなのに

ワタシの名前を叫んでる

夢のなかのヒトと同じくらい

ワタシを愛しているフリをしている


カラダをふらつかせ

ワタシに触れてきた

屍みたいなその手で

砕けるくらいに強い力で


「ああ。ずっと待っていたの」




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