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階段より

一編

●階段より●


音をたてていく

一段上へと上がるたび

カツンカツンと鳴り響く

懐かしくて 真新しい

乾きながらも 響く音

カツンカツンと鳴り響いて

次に繋がる音を待つ

願わずともソレは増えていく

後ろからも前からも

どっちも違った音を作り出す

進むためにか進んでるためにか

その音の全てが動いている

重い音も軽い音とかも

どんなに強い音でも

それだけは変わらないけど


その全ての音が

前を向いている訳じゃない

途中途中にすれ違うヒトもいた

立ち止まっているヒトもいた

ワタシの音が 追い越すときもあった

でも 追い越されるときもあった

全力で走るヒトの音には

ついていけなかった

その音とは もう出逢わないかもしれない

その音のペースに変わりがなければ

あっても ワタシはソレに追い付く気がないから


ある時のこと

弾け飛んで 上から墜ちてくるヒトがいた

そしてソレはやがて

大きな音を作り出すのだ

ワタシはその音を聞くために

立ち止まって 振り向いたのだ


ある時のこと

階段から足を踏み外して

ダンゴ虫のように転がり堕ちるヒトがいた

常に広がり続けるその音に

ワタシは強く惹かれてしまい

立ち止まって 振り向いたのだ


ヒトの不幸に惹かれてしまい

前を向くことを忘れたワタシは

その不幸を見届けるためだけに

階段を下り始めた

今までの道のりを対価に


そして 下りゆくうちに

なにかの焦りから足を踏み外し

空を飛んだのだ


やがて 始まりの一段目まで転がり堕ちたワタシは

薄れていく意識のなか

血だらけのうえ 腫れ上がってしまった

カラダを見つめた

自分の顔すらも見つめた


果ての無い 階段より

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