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十一編
１●動作無し●
動かなくても汗は流れる
動かなくても血は流れる
そして
動かないから堕落する
２●小人酒●
小さな小さなサカヅキを
小さな小さな子どもに呑ませて
小さな腰を丸めて眠りについた
３●さあ包もう●
手のひらサイズの大きな箱
入り口は天井を無くして
箱の中から見える空
手を伸ばせば雲は掴める
４●釣り糸●
水中に潜り込んで
水中に潜むモノを見る
水中に潜むモノも見る
音は知らない
ただの品定め
５●ふすま越し●
あなたを見つめてる
この狭くて長い廊下から
あなたを見つめてる
あなたはわたしに声をかける
あなたはどこかを見つめてる
わたしはどこかを見つめていない
わたしが見つめているのは
ふすま越しのあなた
６●改めてこんにちは●
その畑は潰された
そこに家が建った
頑丈な家なんだ
踏んでも踏んでも崩れない
人はそこを歩くようになったんだ
７●７７７●
７７７
８●ハチ●
ハチの針が刺されば死ぬ
９●球根●
球の形をしているから球根
ただの根とは違うんだ
球のように丸いんだ
だから球根なんだ
でも球じゃないんだ
跳ねないんだ
球のように丸いから球根なんだ
丸いものなんていっぱいあるよ
１０●愛すべき●
愛すべきものはそこら辺にあるよ
石みたいに転がってる
石みたいに止まってる
石だって愛すべきものだった
だけどみんな蹴るんだよ
そうやって動いていくの
１１●一番に●
だいぶダレてきたね
それでいいんだよ
自分が「幸せ」ならそれでいいんだよ
「そこ」から動かないならいいんだよ
