表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/300

サナギのように

一編

●サナギのように●


時を待ちゆく者

散りゆく前に 目を覚ませ


太い茎の横に繭<まゆ>を作り

長い眠りの旅に出る

光に包まれる繭のなかでは

暗闇がワタシを包み込む


何もかもが無いこの部屋で

かすかな光すらも許さずに

いつかその光を掴むと決めて

カラダを丸め込んで目を閉じた


忘れることなかれ

ワタシはここにいる

世界で散りゆく命のなかで

ワタシはいつか目を覚ます



時を待ちゆく者

散りゆく前に 目を覚ませ



白い部屋のなかで眠るキミ

壊さずにそのなかで果ててゆけ

やわらかな芝居などは忘れ

壊しそびれたそのカラダを

はじけるように喰いちぎれ


命を残す意味を忘れたこの世界

赤子すらも容赦なく口にする

いつか壊すと決めた繭の横に

世界に心を許さずに

舞い落ちていく このカラダ


忘れることなかれ

ワタシはここにいた

世界に残りゆく命のなかで

ワタシは永久<とわ>の

眠りにつく



時を待ちゆく者

散りゆく前に 目を覚ませ



かすかな吐息も許されぬ

硬く縛られた このカラダ

守るための部屋でなく

縛るためにあるのがこの部屋で

だけど

縛られることで守られている

だから出られない だから縛られる

行き場所の無い 白き部屋のなかで

いつか出ることを夢に見ながら

今日もいつもと同じように

眠っていくのだ この

行き場所の無い 白き部屋のなかで



忘れることなかれ

ワタシはここにいる

世界で舞いゆく蝶のなかで

ワタシはいつか目を覚ます


それでも

願った姿にはなれはしない

縛るものが違うから


願うならば そう

あのなかへ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ