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ブドウの至福のとき

一編

●ブドウのように●


あ あ ん や あ

あ あ そんな あ ムリヤリ

あ あ あ ん あ あぁ


強引な アナタは

ワタシの服を

舌で 引きちぎって

指で つまみあげて

ボロボロにした 服を

冷たいお皿の上に 投げ捨てたね


知ってるよ ワタシが

その服を

二度と着ることは ないことを

ワタシは きっと

これから ずっと ハダカだ


でも それでもいいんだ

だって ワタシの カラダを

ずっと 舐めまわしている

そんな アナタが 愛しいから

それを 気持ちいいって おもう

そんな ワタシが 愛しいから

だから それでもいいんだ


知ってるよ ワタシも

たくさんいるウチの ひとりだって

アナタは たくさん食べるから

ワタシひとりじゃ たりないだろうから


でも それでもいいんだ

だって ワタシの すぐ前に

アナタに食べられた子 いたじゃない?

その子に対して アナタの対処は

すぐ 呑み込む それだけだったじゃない

分かるのよ ワタシには くすっ

だって アナタ

あの子を 口にして

間髪入れずに ワタシも口にしたじゃない?

なのに あの子 ドコにもいなかったじゃない

呑み込まないと ムリよ そんなの

でも ワタシは

今でも アナタの なかにいる

ずっと とどめてくれている

だから それでもいいんだ


知ってるよ ワタシは

今でも アナタのなかに

いさせてくれている そのワケが

ただの 気まぐれだって

さっきの子を すぐに食べたのも

ただの 気まぐれだって


でも それでもいいんだ

気まぐれでも その気まぐれで

ワタシは 安らいで イルカラ

だから それでもいいんだ


とつぜんだった


アナタは

ワタシの からだを つぶすように

強く 太い舌で 下に押し付けた

ワタシの カラダは

ギリギリ 原型を とどめている

いつ はれつしても おかしくない


もう ダメ


そう 思った 瞬間に

アナタは ワタシを 開放した

太い舌を 持ち上げて

でも それは 逆効果


だって さっきから

ワタシの 全てが 止まらないから

さっきから ずっと

体液が 色んな ところから

じわっと でてきてるから

透明な 液が 止まらないから

カラダが ヒクヒク言ってるから

ワタシの 理性は カラダは もう

イかれてしまったんだろう


そんなとき アナタは まるで

その時を 待っていたかのように


強く ワタシを噛んだ


激痛と快感が ワタシをむしばみ

幾度か 噛んで

ワタシのカラダを いくつかに分けた

切り口が まるで 花びらのように

潤っていて

アナタが噛むたびに

切り口が 敏感に 反応して

透明な液を 放出した

何度も 何度も


ワタシは もう 出し切った

それに気づいたのか


アナタは ついに

ワタシを飲み込んだね

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