花びらを持たぬ花
二編
●造花のように●
水は要らない それは造花だから
潤いもなく 枯れることもない
永遠の華 永遠の華
永遠の華 永遠の華
それでも
糸はほつれる 色は堕ちる
見栄えは悪くなっていく
その花びらは 鮮やかな黄色だったけど
今じゃ そんなにも色が堕ちて
白と黄色の
まだら模様を浮かべているけど
愛着は 消えていくよ
土は要らない それは造花だから
潤いもなく 枯れることもない
永遠の華 永遠の華
永遠の華 永遠の華
水をくれても カビするだけだよ
土をくれても カビするだけだよ
ほつれた糸を直してくれても
色が戻ることはないから
花びらはいつまでも まだらだから
何も要らない それは造花だから
潤いもなく 枯れることもない
永遠の華 永遠の華
永遠の華 永遠の華
永遠の華…
だから 棄てて……
●雑草のように●
踏まれていく花
踏まれ続ける
雑草のように いや
雑草だから
人目に映らぬ程の
可憐さ ならば
それはもはや
雑草なのだ
太陽を諦めた
雑草なのだ
しかし
私はそれでも構わんよ
生きる為にしがみつく
踏まれて なおも立ち上がる
弱ることもなく いや
更に前に 足を踏み出す
…美しい
その生[せい]への執着
生きる為に あえて陰の下で生きる
ただただ 生きる為だけに
美しいではないか
気高く 美しい
それも 外に見える美しさではない
花びらを持たぬ花
だからこそ
根が映[は]えるのだ
美しさには 意味がある
意味があるから 美しい
彼らの姿には意味がある
だからこそ 美しいのだ
目立たずとも 気高く美しい者
そう 彼らは
陰の花