遺産
●遺産●
詩人は生前、たくさんの詩を披露してきた。
しかし、芸術的感性の薄い現在絶賛生存中の阿呆どもには、その良さはまったく分からず、よく分からないレバーを引いてみては「うーん……」と頭を抱えこもうともせずにうなっていた。
そんななか、唯一的を射た答えを導くと言われている島田紳助すら、その詩らを見て聞いて、よく分からないレバーを引いてみては「うーん……」とうなっていた。しかし阿呆と違うのは、良さが分からないからうなっていたわけではないということ。……嫉妬。嫉妬である。詩人の未発表だった詩も含めて、全てを知ったあとでの、大きな嫉妬である。
いつもの調子で笑いを交えながら、毒を吐きながら深イイですよという。
この人が言うから深イイのだ。
なぜなら私にとってみれば彼の詩は「うーん……」だからだ。
だったからだ。
価値の在る物は、価値の在る人に認められて初めて、価値を得るのだ。
●香りの価値●
花には香る、価値がある。
それは、イイ匂いだからです。
ウンコには香る、価値がある。
それは、イイ匂いだからです。
花には蝶やカブトムシや小学生がミツを吸いに寄ってくるのです。それのキッカケが匂いです。
ウンコにはハエや小学生やイヌが、匂いの正体を見極めるために寄ってくるのです。それのキッカケも匂いです。
クサいクサいクサいクサいクサい
クサいクサいクサいクサいクサい
それもまた、イイ匂いの証しです。
好きになれとは言わないけれど。