ぬるま湯
●ぬるま湯●
片手のシャワーをシャーって
全身に浴びせたあとに
背中に熱の雨を浴びせながら
シャンプーを付けた手で
ガムシャラにかき回したあと
白いボディソープを付けなおした手で
背中を除いた全身に手を滑らせる
手やカラダから溢れ出すアワが
バスタブや壁に飛び付いて
しゅうしゅうと呼吸をしている
そのアワを見つめながら
全身に熱めの大雨をかぶせる
アワもカワも垢も全て脱ぎ捨てて
火照るカラダでバスタブの海を泳ぐ
その海は
すぐに足が深海についてしまうのだけど
初めはヒリヒリとくるような熱さだった
それでもずっと浸かるうちに
そんな熱さにも慣れて
溜め息を漏らすようになっていた
カラダを抱く熱が当たり前になる
寂しいけれど慣れてしまう
誰かを楽しませることもできない私には
ただただひたすら冷めていく湯に
浸かり続けるしかなかった
中途半端な温もりしかくれなくなった
そんなバスタブの中でも
出たくはなかった
その少しの温もりにでも
しがみつきたかった
もう、凍えたくはないから。
●氷●
氷をあの子の背中に入れた
「にゃぁああああああ☆」
その子の悲鳴は、なんだ?
喜んでいるのか?
悲しんでいるのか?
苦しんでいるのか?
よく分からないので
もう一度入れてみた
「にゃぁああああああ☆」
カラダをうねうねうねらせて
もがいているように見える
地面に☆が散らばっている
それがどこから来たのかは知らないが
とりあえず私は
初めて見る☆に見とれている
とりあえず