独楽遊び
●サビ●
茶色いサビが足跡のようなものだ
キレイに象らないのが証拠だ
酸素が削っていったのだ
弾くモノも無い
グダグダになったのだ
古い皮膚が新しくなるように
そうはならない
汚くなれば汚いままだ
いや
メッキが剥がれたままなだけだ
汚いままだ
カサブタならば救いがあろうよ
そうでは無いわけだが
だから何一つ遺さずに
サビるわけだが
魂が存在するならば
見てみたいものだが
老いを見せず
●独楽●
ひとりだろうと楽しかろう
好きほうだいにハシャぐだろう
しかし彼はそうではない
何も出来やしない
疲れ果てて転ぶまで
ひたすらにヒマを潰し続ける
足の下に彼女が落ちるころ
彼のカラダは大きく傾いて
地面に頬を寄せる
ひとりではなく
ひとりだから
楽しく楽しく
ヒマを潰し続ける
日酒が恋しく
月は欠けていく
そこらに落ちる
独楽の足跡
●観覧車●
静かに上に上がり
静かに下へ下がり
景色を見つめて
景色を遠ざけて
ジェットコースターから聞こえる
微かな叫び声
目の前の彼のつぶやき
ひとつ前の観覧車の席
楽しそうな親子の笑顔
親子だと思う
ふたつ前の観覧車の席
うっすら見えるは肩を並べる二人
性別までは不明
目の前の彼のつぶやき
目の前の彼女の動かぬ唇
目の前の彼女の遠い視線
時折目が合う彼女のあの目と
僕は彼女と
どう在りたい?
良く分からない
景色に紛れて