嵐ジャム
●嵐ジャム●
荒々しく曲がり曲がりくねっているのは銀色のスプーン
黒々とした空の雲も空に溶けかけている
だからこんなにも空は暗い
その暗闇をすくうこともかなわない
ビンの中には小さな渦巻き
グルグルまわっていつかビン底にへばりついてしまう
快感を得ることで一時的に収まることはあるかもしれないが
結局は虚構での出来事
いつかはまた吹き荒れる
パンに塗ることも叶わない
塗ったとしても誰も口にしない
腐ったモノには寄り付かない
たかってくれるのは所詮ハエ
でもそんなヤツらは触れないでくれ
求めるのは使い古された唇・歯・唾液
でもそんなものが寄り付くほどの
涼しい風と優しい香りは
残念ながら持ち合わせておらず
高まる欲望
誰かに使われたいと思いながら
ビンの奥底にへばりついている
純真無垢な永遠のベイビー
もおいっそのこと
腐ったパンに塗りたくって捨ててくれ
●銀色スプーン●
銀色とは言えないほどに濁った銀色スプーン
誰かの顔とかを写す鏡と同じことが出来るから
そうありたいと思ってしまうときも当然ながらある
しかし私は不完全
曲がった顔しか写せない
伸びた顔しか写せない
太った顔しか写せない
だからそんな道は諦めた
私の特技は救うこと
いろんなものを救うこと
別に救いたくないけど救ってきた
それが唯一の生きる道だから
夕飯のとき
テレビとかで見るような
曲げられて捨てられるような奴よりはマシだろうと思う
見下さないと生きていけない
誰も私を救わないから
腐ったジャムでもなんでも救ってあげる
そのあと荒々しく洗ってくれればいい