暖房
●暖房●
私は寒いのは嫌いだ
しかし私は暖房というものも嫌いだ
だから熱いを求めることが出来ない
熱い空気は妙に気持ち悪く感じてしまう
だから私は嫌いだ
しかしどうしようもないときがある
今まで沢山の店を見てきた
店の暖房はさすがに消せない
目がとても痒い
暖房は私の目を渇かす
こうなれば私も目をこする他無くなる
ゴシゴシと力強くこする
ちょっと目が痛くなる
目を傷つける行為だからだ
だから私はやめた
ちょっと目が痛い
私は暖房と戦う
もう戦わないとやっていけないからだ
もう体力が無い
喉がカラカラだ
そのまま店内を走りまわる
「ううう、うう、うううううう」
店内で鳴り響くサイレン
『ううううううううううううううう』
うううううううううううううううううううううううううううううううううううう
走りまわる走り続ける
渇いたはずの目から涙
限界を軽く超えて涙が流れてきた
ぽたぽたぽたぽた
それでも涙は止まらない
そして暖房の点いた店内
そんな場所で走っていたカラダは
やはり汗でぐしょぐしょだ
冷やす為に外に出る
冷えまくって寒くなりすぎた
歯をガタガタガチガチ鳴らす
タンバリンのように
良い音だ
いやそんなわけがないだろう
あり得んだろう
とりあえずはまた店内に戻る
しぶしぶと戻る
走って戻る
やはりしぶしぶではなかった
店内はホカホカだった
ホッカホカだった
ああ凄いガタガタガチガチが消える
店内に溶けていく
素晴らしいよコレ
半端やないよコレ
ちょっとビックリした
ちょっと深呼吸しよう
カラダの中が暖かくなる