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走る

●走る●


走った

息が詰まるほどに


まだ心臓がバクバク暴れている

落ち着け……落ち着け…………


こんなに走ったのは久しぶりだ

服の内側が熱気を持っている

少し汗も出てきた

首を触るとヌルヌルとした


涼しい風が吹いているのに

暑くて暑くて堪らない


制服の裾がばたついている

バタバタバタバタバタバタバタバタ


サイズの合わない革靴が

カポカポと跳ねている

跳ね馬だ

とても速い足音だ

カポカポカポカポカポカポカポカポ


走り方を忘れたカラダは

腿は上がらず手は振らず

息の仕方さえも常人となっていた

ハアハアハアハアハアハアハアハア


脇腹からトゲトゲしい痛みが来た

左手で強く強くつまんでこらえるのだ

こらえることが出来なくても

そうやって我慢して我慢して

走る走る走り続ける


信号は変わり掛けている

青から赤へと変わり掛けている

信号は点灯していた

青から赤へと変わり掛けている

そして変わってしまった


だけど私はそこを駆け抜けた

車が動き出す直前に

車がガクンと止まったよ

その前を平然とした顔で

重く蒼いバッグを弾かせながら

心臓をバクバク弾かせながら

汗を落として首を下げて

バタバタバタバタバタバタバタバタ


ハアハアハアハアハアハアハアハア

ハアハアハアハアハアハアハアハア

ハアハアハアハアハアハアハアハア

ハアハアハアハアハアハアハアハア

ハアハアハアハアハアハアハアハア


それでもバスには間に合わなかった

遅すぎたスタートだったから


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