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ガラスカラス

●ガラスカラス●


カラスは夢を見た

白い白い自らの姿を夢で見た

力を少し込めて打つだけて

粉々になっちまうハートを持って

白い満月を見つめながら

白い満月みてえな白い羽根を

地上の命に振り掛けながら

飛んでいくんさ

果てねえように


果ててないように

ガラスはそこらじゅうに転がってるよ

顔をゴロゴロと出してさ

まだ果てねえ命すらも混じらせて

綺麗な夕闇作ってら

あそこのホラ端の端くらいにさ

綺麗な夕闇作ってら

こぼれ落ちた妖艶な唇は焦げて埋もれて

俺はそれに唇をそえるのさ


だからカラスは白いのさ

綺麗な指だと思わんかい

分かるだろ

クチバシにくわえてるコレだよ

探し続けてたのさ

この前珍しいガラス玉付きの指輪を見つけてさ

それに合うような

綺麗で真白くて細っこい指が欲しかったのさ

二つ揃えば綺麗すぎるくらいに輝く

そんな宝石として欲しかったのさ

生きてなくて良いのよ

指であればそれが

このガラス玉に似合う

綺麗で真白くて細っこい指なら

それでいいのさ


口付けとともに

太陽の光が当たることのない廃墟の中で

そのまばゆい白さをずっと

ずっと持ち続けた小さな指で

黒く焼け焦げた指の先の

溶けかけた

いや溶け始めた爪の先を撫でた

白濁の色のドロドロの液を

爪と皮の合間から垂れて地面に零れてく

ああこれはなんなのか

精液とも違うソレ

指先に絡めて舐めて見るならば

それはこれ以上に味わったことのない苦さを

この馬鹿舌に染み込ませてくれた


満足だ

力無き指

地に落ちる


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