表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
212/300

天泣

二編

●少し雨●


少しだけ雨が降っていた

そしてすぐやんだ

またいつ降ってくるのか分からなくて

不安なまま上を向いて歩く

雨は降るなら降るで降り続けて欲しい

中途半端はキライな方だ


雨が降ってきた

肩が少し濡れてしまった

今も少し濡れている

肩を叩けば水玉が少し落ちてくる

制服が水をはじいてくれたからだ


あと色々なモノが汗をかいては流していた

冷たい床屋の看板に

冷たい汗がだくだくと流れている

雨が地面をびしょ濡れにして苛めていた

その雨を長靴が踏んで苛めていた

その長靴を子供が踏んで苛めていた

子供は長靴を履いていた

長靴が長靴を踏んでいた

あの長靴は誰のモノなんだ

答えはいくら探しても見つかりはしない

あの日から何年も経った今でも

見つかりはしない

あの場所は

あのときだけの場所だから


見つかりはしない



●短いどしゃぶり●


あなたがもうどこかへ行ってしまう

あなたがもうどこかへ行ってしまう

雨を弾きながら

水玉を吐き出しながら

長靴はパカパカと走っている

馬の足音にも聞こえるのに

随分と遅い足なんだな

鈍さだけが光ってる

そんなことにも気付かず宙すらも蹴る

そして地面を蹴り忘れて沈んでいく


水玉は地面を皿にする

それともただの地面ただ落ちただけか

五秒ルールは適用しよう

しかし誰も拾い上げはしないだろう

航空に向かう車の中から

走る地面を見下しながら

ふと思ったことだ

若い割にはボクは

歳かもしれないな


地面が長靴を剥いでも

足裏が擦り切れてしまおうと

あなたには届かずに

激しく激しく

天泣が降り注ぐ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ