バリカン
●バリカン●
毛が無くなった
剃ったからだ
ギョロォオオオオオオオオオオオオ
ギョロォオオオオオオオオオオオオ
髪がボロンボロン取れていく
床に黒い髪が散らばっている
床屋のおっちゃんがニコニコ笑ってる
「スッキリしますたね」
いやいやあなたのバーコードには負けますよニコニコ
短くなった髪の毛は灰よりも灰らしく
何よりも柔らかく何よりもトゲトゲしかった
指が髪に絡むことも今は無い
絡むほどの長さも無い
指が絡むことが恨めしかった
私はこの手で頭を抱えたかったからだ
ペチペチ叩くと良い音がした
ポロンポロンポロンポロン
良い音っ!
ポロンポロンポロンポロン
良い音っ!
オルゴールの奏でる泣き声に続く良い音っ!
無くした髪を対価にし
人よりも多く寒さを手に入れた
人が私を見て笑いを手に入れた
朝の頭はコンクリートの冷たさよ
血色の良い灰の冷たさよ
ガシガシガシガシガシガシガシガシ
ガシガシガシガシガシガシガシガシ
髪掻く! 髪掻く! 髪掻く! 髪掻く!
ガシガシガシガシガシガシガシガシ
ガシガシガシガシガシガシガシガシ
うわぁああお
髪を洗い終わるの早い早い!
とゆうか髪自体があんまし無かった
きょはあ
ギョロォオオオオオオオオオオオオ
ギョロォオオオオオオオオオオオオ
また髪剃ったん?
頭を掻いてキズを付ける
しかしそのキズに気づいていたとしても
私は頭を掻かずにはいられないなんてこともないが
頭を掻き指が燃えゆく