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古木

●古木●


大きな大きなグラウンドに立つ

大きな大きな楠木です

私もまだまだ生まれていない

ずーっと前から立っています

私が生まれていないころ

たくさんの傷を付けたのでしょう

あなたのその根元には

誰かの血が染みているのでしょう

私の数十倍も大きな大きな楠木

葉っぱが小さく揺れています

葉っぱが大きく揺れています

あなたはとても鮮やかな緑色を持っています

緑色の葉っぱを持っています

シワシワな肌のコケだらけの肌も

ここを頑として離れない頑固さを教えてくれます

まだまだあなたは守ってくれるのですね

あなたのまわりに誰かがいてもいなくても

あなたは離れないのでしょう

いつまでも眠らずにいるのでしょう

樹液がいつでも穴にありますね

虫の立派な食料です


あなたは大きい

とてもとても大きい

そのカラダだけじゃない

その存在も

その色も

あなたが吐き出す酸素さえも

あなたは大きい

私がずっと必要としている

私以外もきっとそうだ

この広い広い広い広いグラウンドに

ドンっと構えたあなたがいなくなれば

そのショックは計り知れないものになるだろう


だからあなたはがんばって生きるのでしょう

まだまだこれから先

私が死んでもずっとずっと

立ち続けるんでしょう

その強く大きく硬いカラダは

ボロボロだろうとそうなんでしょう

でも芯は通っている

ちゃんと生きるために背伸びをしている

腰を曲げずに空を見つめる

これから生まれてくる子供達の

目印になってほしい

心から願います


名も無き楠木に


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