ガムタオル
二編
●ガム●
ぷく〜って膨れて風船になる
そうやって生まれたガムを手づかんで
ボクごと空に浮かべばそれで良い
白い鳥達がボクの横を羽ばたいている
だが浮かべるはずもないだろう
文字の中ならいくらでも浮かべるさ
白いカラスも飛んでいて
ダイヤモンドを含んだ雨にうたれ
傍らはキラキラと輝いている
しかし雨にはダイヤモンドなど含んでいない
いるはずもない
雨が含むのはバイキンだらけのホコリだけ
愛も正義も悪意も何もかもが本当は無い
存在しない
文字のなかでのみ
文字という形を利用して生まれる
ガムが割れて中から羽がいでくる
それが背中にまとわりついてくる
違うな
ガムが割れても
口のまわりを処理するだけだ
イライラするよ
風のはごろもは要らないよ
ただの涼しい風が良い
ただの涼しい風は
ドコから生まれるのか
それだけが知りたいよ
それだけが知りたいなんて言葉
死にかけるまで使わないだろうけど
いっそのこと
このガムと一緒に
根元から舌を切り落とせたならば
そんな勇気が
このボクに存在するならば
ああ病んでいるなコイツと
人々は高笑いするだろう
●タオル●
眠いんだ
意識も体も眠いんだ
汗も油も血も肉も
このタオルに吸い込まれれば良い
そうすればきっとラクだ
いつものように眠るフリをしよう
いつものように髪の毛を触られても動じずにいよう
本当に眠れるならば此処にはいないさ
タオルと気持ち良く接するなんて
それこそ夢うつつ
タオルを支える指が邪魔だよ
ああ…でも…
コレが無いと……
俺は顔を晒さなきゃならないのか
ずっと…
それは…やだな…
ああ…や