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無花果ライン

二編

●無花果●


ニチャニチャしている

それでいて赤黒い皮は自分で剥かなきゃならん

話にならんくらいに指先が不快感に襲われる

花が無い果実

その代わりに身が詰まっている

甘みのある粘り気

少し力を入れるだけで原型がこぼれそうだ

そう思うだけで実際にそうなりつつある

甘みのある赤い種

イチゴの種のように小さい小さい種

それでいてざらつきのある食感に

私は舌から涎を垂らした

それで虜というものだ

しかも涙は青白いのだ



●ライン●


そこに引いた線

そこより向こうに言ったらダメです

だから私は外に出た

そこより向こうの外に出た

とても熱くてとても暑くて

とても寒くてとても冷たくて

ボクはそのラインを超えていたんだ

そこは超えちゃいけない線なんだ

だから俺は今凍えているんだ

周りは白い風景で何もない

ただ私の背後の景色は

いつも真っ暗闇だったんだろう

雷を拾って

乾いた地面に生き埋めた

羽ばたくことを忘れた白いカラスは

ボクの目玉をいじくっている

吐き気を催す香臭は

我が身が振り撒く腐臭である

そこで煌めく黒いライン

そこより向こうで嘔吐する

ボクは口から涎を出した

腐りかけの無花果は赤い汁をこぼしている

それはまるで血のように

ならば俺は吸血鬼か

血を啜って生きてきたのか

青空色のラインが引かれた

その上に指を乗せると触れずに

ラインの中に指は落ちていった

頬を伝う涙は痛みからか

それとも自由になれると

そう思ってしまったからか

涙は雲に溶けてしまった

私もそこに行くとしよう

私もそこに堕ちるとしよう

これで私は晴れて楽を手に出来る

ああ

そうなんだよ


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