羽生蛇
五編
●引き金●
込められた殺意を吐き出す為の
唯一のスイッチ
唯一の入り口
弾け その指で
●渇き●
血も凍るような強い暗闇の下
命もそこらに転がる夜道で
荒々しく呻くそれは妖しき命
答えしらずに光を連れて
どこかの田畑の真ん中で
指折りながら
自らの存在を照らしだす
餌は必ずやってくる
●サビた意識●
どこかで声がしたハズなんだ
俺は必ず声を捕らえたんだ
どこにあるんだ
闇夜でうごめく奴らには逢いたくない
奇声を発して飛び回る害虫
この俺にとって最も要らぬ光
指に止まるホタル
赤黒い光を灯している
その光を近くで覗こうと
指を目線まで上げていく
ああ首が曲がらない
あの光を近づけたハズなのに
あの光はどこにもなくて
暗闇すらも見えなくて
何かを食する声がした
●黒アゲハ●
かかかかかき消して
ももももももえるもえる燃える
つつつつきが月には顔がある
痛々しい痛々しい痛々しいなあ
ひらひらひひらひらりらりらり
燃える燃える黒い黒い
燃える燃えるいや腐る?
ああ落ちる
ぽろぽろと
腕から腐臭
吐息はフシュウ
フシュウフシュウ
目の前でくるりとまわる
黒アゲハ
●川●
潰れるなあ
目玉
トンカチで杭を打ち付ける
痛みをこらえるなんて出来ないよ
俺の目から涙が流れる
それが首をつたって
腕をつたって
手のひらにしみて
君の首に移るんだ
ごめんよごめんよ
だってこの指が勝手に君の首を
締め付けるんだ
…うーん、難しい。
久しぶりに書きたいものにならなかった。