二人旅
二編
●二人旅●
おっちゃんの名はファルコンだ
私の名前はというと山下だ
しかし今私は山よりも高い場所にいるから
山上と名乗りたいから名乗ろう
私の名前は山上だ
そしてその横にはファルコンという名のおっちゃんがいる
なんて格好良い名前なんだ
尊敬の念すらも抱けるよ
さて突然だが私たちは今空を飛んでいる
理由はバスに乗っていて
私がまだ見知らなかったファルコンと
喧嘩をしたときの名残からきている
その名残だけが翼も持たぬ私を
空の中で生かしてくれているのだ
しかしファルコンはというと翼を生やしている
大昔にオセロに負けたときに生えたらしい
しかしその翼も
だいぶ前の地球崩壊とともに消滅したらしいが
自分の身の危険を感じたから復活したのだろうか
不思議なことも世には起きるのだな
さてそんなファルコンと空を飛ぶ私はというと
別になんの取り柄も無いタダの女であるが
胸が大きいからか
それともバスの喧嘩での名残が切れかけているのか
少し浮力が落ちてきたような気がする
なぜなら先まで隣りにいたファルコンが
最早豆粒程に 否 蟻程のサイズにしか見えなくなっているからだ
さて冗談を言っている暇は無い
どこからどこまでが冗談か分からなくなる程に
さあ肩の荷も何も背負わずに
ただただ墜ちていこう
さあファルコン
さあさらば
●断片的短編詩集●
連なる三つの詩を
短編として残していこう
繋がることができても
できなくても
買い物と旅と日常を
ここに