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幕間:愚者の国

ヒロインの出番といったな?あれは嘘だ。

本日二話目の更新です。ブクマ等から来たかたはご注意ください。

「・・・ああ、間も無く時が満ちる・・・忌々しき偽物供をようやく駆逐出来る」


無骨な岩の玉座に身を預ける人物は愉悦に顔を歪めた。傲岸不遜にも竜の血を継ぐ劣等種を贄に捧げ、信奉する主を再び此地に降臨させる時が間も無く来たるのだ。


思えば幸運に恵まれていた。放っていた密偵が偶然にも見つけたそれは愚者の希望ともいえる存在だ。運がいいことに祝福を受けてもおらず、周囲には護衛の影もなかった。


千載一遇の好機を逃さなかった密偵はその存在を見事にかどかわし、此地へと帰還したのだ。下等な人間の術師を攫い脅して力を封印させ僻地に魔力と力を抑える結界を設置して監視させている。


それも今までだ。根回しは済んでいる。迫害させ憎悪と怒りに蝕まれた身体こそが何よりも主への供物となりうる。きっと主は我を褒め称えてくださるだろう。格別の恩寵は間違い無いと断言出来る。


ああ、楽しみだ。逸る気を抑え込むのに苦労する。


そんな事を考えたら慌ただしく宰相が部屋へと入って来た。


「リザド様!、目付役が到着しましたが・・・」


「カナル、逸る気持ちはわかるが無礼では無いか?まあいい、今日は記念すべき日になるのだ。不問といたす。目付を連れて参れ」


「いえ、その・・・わかりました。すぐに連れてまいります」


まったく、これだから下賎な者は・・・そんな事を考えながらも我が身が間も無く訪れる時を心待ちにしている事に気がつく。


「間も無く目付役のコモド殿が入られます」


戻って来た宰相がそう告げる。何故か顔色が悪いがあの歳で控えの間まで走ってくれば無理も無いのだろうか?そんなに距離はなかった筈だが老いとは恐ろしいものだ。


玉座の間の大扉が開き1人のドラゴニュートが入ってくる。どうやらこの荘厳な部屋雰囲気に呑まれたのかおどおどとした様子だ。


「供物の目付、コモドよ。よくぞこの時まで役目果たし通した。大義である。我らが主もお前の働きをお褒めになられるだろう」


びくりと声を掛けられたコモドは体を震わせる。きっと王自ら声を掛けて貰えるとは思ってもいなく、望外の幸運に身を震わせてしまったのだろう。


「お前にはその功績を持って儀式への参加を認めよう・・・そうだ、儀式を始める前に供物の顔で見てやるか。劣等種とは言え我らが主への贄となるのだ顔ぐらい覚えておいてやろう」


「その・・・供物なのですが・・・」


「どうした?まさか死んだわけではあるまいな?まあ供物なのだから死んだところで問題はないがな」


「いえ、その・・・申し訳ございません・・・供物は村から逃げ出してしまい行方がわからないのです」


リザドはコモドが何を言っているのかわからなかった。供物が逃げる?ありえないはずだ。古きものを信奉する隠者達を騙し対象を内側に封じ込める結界を村には張っていたし、そもそも封術をかけて身体能力を極限にまで落としていたはずだ。逃げ出そうにも逃げ出せるはずがない。ずっとそう思っていた。


「結界はどうした!封術はどうした!まさか、劣等種どもが供物を奪おうと侵入したのではなかろうな!?」


結界はあくまで個別の対象しか封じることができなかったはずだ。ならば外側からの何らかの手引きがあったのは間違いないのではないだろうか?封術に関してはわからない。まさか劣等種ごときが封術を解除できるはずがないからだ。そもそもあれは猿どもの技だ。劣等種が知るわけがない。


「わかりませぬ。結界は間違いなく張られたままでした。どうあがいても村から出られるようなことがあってはいけないはずです」


ちなみに彼らは知らないことだが、隠者達を騙して手に入れられた道具は対象を内側に封じるものではなかった。明らかに自分たちを見下しているドラゴニュートたちに一泡吹かせるために、指定した種族だけにあきらかに「ここに結界がありますよ」と言っているようなドーム状の何も封じる効果がない見せかけの結界を張るだけの道具である。目論見は見事に成功していた。

劣等種の供物・・・一体誰ッシュなんだ・・・?

封術に関してですが主人公が掛けられた封術は術者の力量の問題もあり、経年成長分の能力までは完全に封印できてなかったりします。

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