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初めての狩り---ゴブリンと薬草はやっぱりテンプレ---

ギルドへ登録したあと一応常設依頼のプレートを確認したところご丁寧にも持っていた方がいいものが書いてあったのでアーデから借りた金の残りで購入した。恐らくアーデはこれを見越して余分に貸してくれたのだと思う。いや、そもそもコミュ症なのになんで知っていたのだろうか?


購入したのはナイフと数枚の革袋、そして切り傷などに効く塗り薬だ。ナイフは指定部位の切除や採取用、革袋は指定部位や採取物をまとめてギルドカード内にいれて置く為の物だ。ちなみに塗り薬は魔法がある世界だけに浅い切り傷程度なら簡単に回復するらしい。ポーションの類もあるのだが一番安いものでも大銅貨1枚の値段がつくので今は購入しないことにした。


武器らしい武器を買ってないのは今回やってみようと思っている常設依頼では使う可能性が低いからである。

それに種族特性の竜鱗操作が俺の思う通りであれば恐らく武器を買うことはしばらくないだろう。


「さて、まずは定番といってもいい薬草探しだな」


買った塗り薬にも使われている薬草であるが、プレートに書いてある内容によると薬草は根を掘り起こさずに地面との生え際をナイフ等で切断して採取する方法で取るようだ。根にも葉と同じ効能があるようだが特別強いといったこともなく根ごととってしまうと生えなくなるかららしい。

アウロディアの街からほど近い場所にある林に分け行って見るとポツポツとプレートに乗っている絵と同じ形をした植物がすぐに見つかったので早速ナイフを腰につけた鞘から抜き出して採取していく。


ちなみに薬草の採取は10本でひと束として3束で一回分の依頼が達成されたとしてカウントされるようだ。

多く感じるかもしれないが塗り薬を作る時に一回で1束使うらしい。3束集めて報酬は大銅貨2枚で塗り薬の値段は1つ銅貨5枚である。一回でおよそ10個分の分量ができるとか。情報は親切な薬屋のお婆さんが教えてくれた。技術料や他の素材の値段を考慮しても妥当な報酬だと思う。



それから1時間程経過して7束程集まったところで薬草採取を終了する。1束は自分用だ。調合の仕方は知らないがお婆さん曰く潰して傷口に張り付けて置くと塗り薬程では無いけれど効果があるんだとか。


束を購入した革袋に入れてからギルドカードにしまう。革袋がぼんやり光ったと思った瞬間にあっさりとしまう事に成功した。おお、これは便利だ。


さて、ここからが本番とも言ってもいいだろう。そう、定番の討伐依頼だ。

武器も無いのに討伐依頼とか舐めてんじゃねーよ。と思われるかもしれ無いが今回やる予定のゴブリンは本当に弱いので問題無いのだ。


何故ゴブリンが弱いのがわかるかと言うと村では子供達が一定年齢に達すると近くの山からゴブリンを捕まえて来て戦闘訓練をさせるからだ。


俺も村から逃げるまでの間に何度かやっているが戦った感じゴブリンは単体で小中学生の子供程度戦闘力だった。しかもとにかく長ものを持ちたがる癖に適当に振り回すだけ。剣とそれより長い棒があると棒の方を選ぶので頭の出来もよろしくない。複数いても囲んだりする事も無く無意味に突っ込んで来る。


ちなみにドラゴニュート達の戦い方は攻撃を受けても構わず捩じ伏せるか開幕ブレスを打ち込むといった感じだった。正直な話余り頭のよろしくない戦い方である。俺は攻撃を受けないように気をつけて戦っていたのだがそれも馬鹿にされていたのは解せぬ。


話は戻るが武器だ。ここで俺のステータスを思い出してみよう。



アッシュ・グレイスケイル※シール


種族:竜人※シール


固有値※シール:体力 20 頑強 35 知力 27 精神 15 俊敏 32


種族特性※シール


竜鱗操作3 竜鱗生成2 竜化1() ブレス2 目利き3


スキル※シール


体術2 剣術1 放出1 走破3 


固有スキル※シール


コントロール3 効率化4 ※※※※※2


そう、ここで重要なのは竜鱗生成と操作である。ちなみに俺に掛けられているシールは完全封印というわけではなくステータスのランクダウン程度のレベルだとか。つまりランクダウンしているとはいえ竜鱗生成と操作は使えるということだ。ちなみにブレスは使うつもりがない。なぜかというとタメに時間がかかるくせにそこまで威力がないからだ。村のドラゴニュート達で一番ブレスが強い奴でも木を折るのに数発必要な残念スキルである。


竜鱗生成と操作、もし俺の想像通りならこれで色々とできそうな気がするので早速試してみる。まずは生成だ。手のひらに一枚新しい鱗が生えて来るのをイメージしてみるとパキパキと小さな音を立てて鱗が生えてきた。


「予想以上のスピードで生えてきたな。これなら・・・」


生えてきた鱗を抜いて(予想以上にあっさりと抜けた)何かに使えるかもしれないのでギルドカードにしまった後、今度は複数の鱗が拳を保護するように生えているのをイメージしたところ一枚だけ生えてくるのよりは時間がかかったが大方イメージ通り鱗が生えていた。手を握ったり開いてみるが動きを邪魔するような感じはしない。

あくまでも個人的な意見だがほぼ素人に過ぎない人間が戦う時下手に武器を持つぐらいなら蹴ったり殴ったりする方が格段に安全だと思う。鱗を持っていて人間より遥かに傷を負いにくい竜人ならなおさらだ。

素人が殴ると拳を痛める、といった問題点も竜人の体の頑強さが解決してくれている。


そして、操作で打撃面の鱗がスパイクのように立つようにイメージしてみると鱗はしっかりと逆立った。そのまま近くの木を何度か殴って見ても折れるような気配もなくしっかりと突き刺さる。よし、これなら問題は無さそうだ。


準備も万端、といったところで予想以上に早くゴブリンを見つけた。

禿げていて途轍もなく不細工な顔、土色の肌が特徴的だ。

腰には何かの革のようなボロ切れを巻きつけていて手には木の棒を持っている。

こちらには気付いていなさそうで周りに仲間が居そうな気配もない。警戒のかけらも無いアホ面で歩いてた。---言うまでも無くチャンスである。


一気に駆け出して接近する。ゴブリンは慌てて棒を振りかぶるがその動きは緩慢に見えた。振り下ろされた棒を斜め前方にステップして回避、そのままガラ空きの脇腹に拳をぶち込む!


「ラァッ!」


「ギィッ!?」


ゴブリンの腹からバキバキと嫌な音が響く。当然だ、大人の2倍の筋力を渾身に込めた一撃を喰らえば子供程度のゴブリンの骨なんて簡単に砕け散る。


骨も折れバランスを取れなくなったゴブリンは拳の勢いのまま地面へと倒れこむ。無防備に投げ出された足を勢いのまま踏み潰してやればもうゴブリンは虫の息といった体だった。

打撃面の鱗を一箇所にまとめて即席のスパイクにして心臓へと一撃を打ち込とゴブリンは嫌な震えとともにその息を引き取った。

拳を引き抜くとごぷり、と緑色の血液が流れ出す。多少の不快感を感じるが吐き出すほどではない。そもそもその程度の段階は村で経験済みだった。

よく現代人が異世界にいって覚悟もせず殺したら~なんて描写をそういった小説で見るかもしれないが意外と人間というものは残酷なのである。殺す、という行為は一度やってしまえば思いの他あっさりと慣れてしまった。

スパイク状にした鱗だけ戻してナイフを使ってゴブリンの討伐部位である耳をそぎ取りそのままナイフで手と足の腱を切り裂いたのち顔面を踏みつけて牙を叩き折る。

ゴブリンの討伐以来は討伐部位5個で依頼一回分だ。あたりに視線を巡らせて他にゴブリンがいないか確かめて見たがいないようなので討伐は気長にやっていくことにしよう。


そんなことを考えながら俺は街に戻るのであった。

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