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六話 修行パートと食料問題、足りないものばかりです

外に出るとすっかり日は落ち、遠くに赤やけた空が見えるだけで空は星で埋め尽くされていた。

日本では見る事の出来なかった圧倒的な星の量と輝きに感動を覚えていると、汗で濡れた体に冷たい風が吹き、体が震え現実に戻される。


「(寒!)」


急いで水を飲み、外に洗って乾かしていたぼろ布を回収して部屋に戻った。


「おかえりなさい」


「ただいま。布持ってきたからこれで体拭いて」


布を渡し、互いに背を向けたまま体を拭いた。(そうするように言った


魔力について話をするとお互いに似たものだったようだ。ただ、自分と同じくルティナも動かすことは出来なかった。


「なんていうか、触れる感触があるっていうのか何度もやっていれば動かせると思うんだよな。」


「私もそう感じました。ただ、気付けば体が疲労していたので活動に支障がでるかと」


「夕方前から魔法の練習をしよう。でも朝から昼まで体作りをしよう。拠点も、食料もあるからこれ以上する事は無いから。体力が無いと魔法が使えても森を抜けるのは難しいしね。」


そのまま明日から行うトレーニングと魔物の来ない範囲について話をして夕ご飯を食べ眠りについた。


そして次の日、昨日のように体が動かないと言うことは無く、食事をして柔軟、ランニング、筋トレを行い、筋肉痛にならないよう、運動後の柔軟はしっかりと行った。


「・・・つらい」


「これ以上動けません。」


ただし、思った通りに体が動くことはなく、予定の量が出来ず、早めの休憩をとることになった。

特にルティナは言われた通りの量を行おうと無理をして途中倒れてしまったのだ。俺はこれ以上無理だと思い、時々短い休憩をとっていたが、ルティナは体の限界まで休憩を挟むことなくやり続けた。


「なあルティナ、別に最後までやろうとしなくていいんだぞ?無理だと思ったら休憩を挟んでいいからな。」


「そうなのですか?決めた数をやるのでは?」


「倒れるまでやっても体を壊すことになりかねない。筋が切れたりしたらこんな所じゃ治せるか分からないし、治っても何か月とかかるからな。」


ルティナはサポートキャラって言ってたけど、言われたことを無茶しても守ろうとするのか?それとも精神が未熟ってのは子供なんじゃなくて、人が成長する過程で手に入れる人格形成がされてなくて欲望とかがあまりないってことなのかな?


「これからのことだけどさ、無理だと思ったら止めていいからな。してほしいことがあったら言ってもくれよ。あ、あと気づいたことがあったら教えてくれ。」


「私はサポートキャラです。隼人様の支援をすることを目的に作られたのですが。」


「う~ん、俺がそうして欲しいってことで。えっと、ルティナが倒れたら俺の精神にダメージがあるからさ。」


「・・・分かりました」


ルティナは視線を少し下げ、考えているようだ。すぐに変わるなんてことはないだろうからルティナが無茶しないようによく観察をしよう。


閑話休題おひるごはん


魔力操作の練習では、まだ魔力を動かせるようにはならなかった。しかし、なんとなく動かせる気がするように感じた。


そんな日々を1か月、体作りと魔力操作の練習を欠かさず続けた。体は転移直後に比べ、新体操の選手のようにはならないが、運動不足だったころよりも柔らかくなり、腹筋が割れ、全身に筋肉がついた。魔力操作は体中を自在に動かせるようになった。ただ、巡らせられるだけで、身体能力を上げることはできず、体の外に放出することもできず魔法が使えるようにはなっていない。


ルティナの方は表面上の変化は髪が伸びたぐらいだった。しかし、内面は大きく違っていた。力は男の俺の方が強いが、体力の面ではルティナの方がある。転移直後は、ランニングで俺の方が長く走れたが、今ではすっかり置いていかれている。魔力操作はお互いに似た状態だった。ただ俺よりも早く魔力を動かせるようになった。鍛えれば鍛えるほど体が適応していっているように感じた。今のままだと力も追い抜かれそうだと内心焦っているぐらいだ。


一か月間俺たちは鍛え、食料がなくなれば結界内の食料を集める日々を続けていた。しかし、それ以上の食料を狭い範囲で集めることはできなかった。いや、一か月分の食料を集められた方が奇跡だったのかもしれない。


俺たちの食料は残り2日分、結界内の木の実にきのこ、野草等の食料となるものはすでに無くなった。安全圏でもう集めることはできなくなった。これからは危険のある森の中に入ることになる。戦闘になったとき頼りになるものは一か月で手に入れることはできなかった。


「ルティナ、周りの警戒はちゃんとしてね。すぐ逃げる用意もね。」


「はい、魔物がいても観察するだけで戦闘はしない。結界にいつでも逃げれるように用心すること。食料よりも安全を。ですね。」


「ああ、じゃあ行くぞ。」


不安だが、森に入る必要があったのは分かっていたことだ。ルティナは緊張したようすがないが、そっちの方がよかった。緊張していたら動くべきときに動けなくなるから。俺たちは結界を超え森に入っていく。魔物が住んでい魔境へと。

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