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夢を叶えに  作者: 銀の字
1/6

1回表

 4月上旬にしてはやや暖かい風が吹いてくる。

 (ちょっと遅くないか)

 腕時計を付けているわけではないので正確な時間はわからないが、自宅からここまでの時間と待ち時間を考えると約束の時間は過ぎていると思われる。

 (向こうから一緒に行こうって言ったのに、普段はアホみたいに早く来てて遅いとか言うのに)

 新品の制服に身を包み、通学カバンをブラブラさせながら秋月は思う。

 今日は朝日中学校の入学式である。何の変哲もない普通の公立中学校だ。一学年は7クラスであり、部活動はそこそこ盛んで去年は剣道部か柔道部が全国に進んだとか聞いた覚えがある。

 (2人だけだからな不安だなー)

 もちろん自分の通っていた小学校から2人だけ入学するという意味ではない。

 仲間たちの中で2人だけという意味だ。

 「よう。悪いな遅れた」

 不意に声をかけられ驚いた。気配を完全に消して近づいたのか、単に秋月が鈍いだけなのか。

 「時雨。遅い」

 と、一応言うがとくに怒りたいわけでもない。あいさつ代わりだ。

 「だから、悪かったって。ちょっと練習時間を間違えただけ」

 と、時雨は言うと歩調を合わせることなくサクサクと進んでいってしまった。


 「おっ!一緒のクラスじゃん」

 生徒玄関前に張り出されていたクラス表を見て時雨は言う。こういう時に長身である時雨は役立つ。秋月自身も同世代の中では長身なので新入生の波をかき分けなくても見えるのだが、時雨の方が結構高い。

 入学式も終わり最初のホームルームのために教室に入る。

 秋月、時雨の1組は2つある校舎の前の方の4階にあった。

 席は出席番号順で、秋月の席は1番前の廊下側。新しい学年の時は今のところほぼこの位置になる。

 担任の先生は斎藤と言う男の先生で社会担当でサッカー部の副顧問であるなどの自己紹介をした。そして、当然のように1人1人の自己紹介となる。

 同じ小学校からなのは時雨、秋月を含めて5人だけで他のクラスメイトも2人のことに気付く人もいないらしい。

 秋月はそのことに少しだけ安堵し、いろいろと配られたプリントの1枚である部活動申請用紙を見て、小さな溜め息をついた。

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