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長い長い時の狭間に

作者: 尚文産商堂
掲載日:2026/02/25

どれだけの時が過ぎたのだろうか。

なんとなくふわふわ浮いているだけの、まるで海に揺蕩うようなそんな感覚でいた。

生きてはいないということは、なんとなく理解している。

ただ、完全に死んだのか、と言われたらきっとそうでもない。

簡単にいえば幽体離脱が一番近いのかもしれない。


それでも世界がうつろい変わっていくのは、周りからの肌感覚でわかっていた。

都市ができて消え去り、国ができてはつぶれ、人類もあちこちに、それこそ宇宙にも目指そうとしていた。

結局何回か失敗しては出発してを繰り返していたものの、どうにか宇宙へと進出することができたころ。

ようやく誰かが呼ぶ声がする。

返事をしようと顔を向けると、ドタッと何か固いものが顔に当たる感覚があった。


「何してるの」

妻が、俺の頭の上から声をかけてくる。

ベッドから落ちたところで、ようやく俺は夢から覚めたようだ。

「……夢を見てたんだずっとずっと昔から、ずっとずっと未来までの夢」

手を差し出して、俺の体を引きずり上げてくれる。

そんな妻に俺は今まで見ていた夢のことを、簡単に伝えた。

「ふーん、いいじゃない。私たちの子供たちも、その文明に参加しているんだから、人が成長するって素敵じゃない」

「そうだな」

長い長い時が経ようと、それでもこのことは変わらない。

俺らの子供がどうなるのかということはこの際横に置くとして、それでも人類はさらに成長を止めようとはしないだろう。

それが人類だからだ。

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