長い長い時の狭間に
どれだけの時が過ぎたのだろうか。
なんとなくふわふわ浮いているだけの、まるで海に揺蕩うようなそんな感覚でいた。
生きてはいないということは、なんとなく理解している。
ただ、完全に死んだのか、と言われたらきっとそうでもない。
簡単にいえば幽体離脱が一番近いのかもしれない。
それでも世界がうつろい変わっていくのは、周りからの肌感覚でわかっていた。
都市ができて消え去り、国ができてはつぶれ、人類もあちこちに、それこそ宇宙にも目指そうとしていた。
結局何回か失敗しては出発してを繰り返していたものの、どうにか宇宙へと進出することができたころ。
ようやく誰かが呼ぶ声がする。
返事をしようと顔を向けると、ドタッと何か固いものが顔に当たる感覚があった。
「何してるの」
妻が、俺の頭の上から声をかけてくる。
ベッドから落ちたところで、ようやく俺は夢から覚めたようだ。
「……夢を見てたんだずっとずっと昔から、ずっとずっと未来までの夢」
手を差し出して、俺の体を引きずり上げてくれる。
そんな妻に俺は今まで見ていた夢のことを、簡単に伝えた。
「ふーん、いいじゃない。私たちの子供たちも、その文明に参加しているんだから、人が成長するって素敵じゃない」
「そうだな」
長い長い時が経ようと、それでもこのことは変わらない。
俺らの子供がどうなるのかということはこの際横に置くとして、それでも人類はさらに成長を止めようとはしないだろう。
それが人類だからだ。




