表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第12章 〜5年生 アイドル1年目〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/121

12-18. ハオ視点:黒猫ハオの潜入レポート 〜副音声付き〜

体調が快復し、バレンシャンへ戻る前に、どうしてもネネの様子を見に行きたくなった。

今日はアイドル事務所のBBQイベントがあるらしい。


たくさんのアイドルが集まる場所——

そんな中で、ネネの可愛さに気づく男が出てきたらどうするんだ。

……落ち着かない。

俺はヒヤヒヤしながら海の会場へ向かった。


変身している間、俺は魔法が使えない。

そのため、クロにはそばで気配を消しながら見守ってもらうことにした。


クロの魔法の知識と技術は本当に底が知れない。

今回かけてくれたのは「強聴術」。

意識を合わせた相手の会話が聞こえる魔法らしい。

つまり、黒猫に変身した俺は、ネネの声を丸ごと拾えるというわけだ。


……正直言って、これは完全にストーカーだ。

だけど、今日だけは許してほしい。


人混みの中でも、ネネを見つけるのは簡単だった。

意識を向けるだけで、彼女の声が聞こえてくる。


ネネ:「ミダン先輩こんにちは。どのお肉がいいですか? 焼きますよ」


ミダン先輩:「おお! ネネ! 焼肉焼いてくれてるんだ! ありがとな」


(俺)

《ちょっと待て。ミダン先輩、なんかネネに近くね? けしからんな。もう少し離れろ》


(クロ)

《王子、嫉妬してる場合じゃないでしょ。ネネさん、狙われてますよ》


(俺)

《わかってるけど、どうすればいいんだ…》


ネネ:「あっ、ごめんなさい」


ミダン先輩:「全然いいよ」


(俺)

《おい、なんか見つめ合ってないか? ネネをそれ以上見つめるな》

——見られるな。惹かれるな。俺の大事な人なんだ。


アレキ先輩:「ダメですよ、ミダン先輩。後輩にはお手柔らかにお願いします」


ミダン先輩:「何のことを言ってるんだい、セオ?」


アレキ先輩:「何でもないですよ」


(俺)

《おい! ネネに目隠ししてるじゃねぇか。距離が近いぞ。しかも……何だ? この意味深なやり取りは…》


アレキ先輩:「油断も隙もないな…」

      「ミダン先輩は、天然で魅了の魔法が使えてしまうんだ」


ネネ:「魅了の魔法って、相手を惚れさせる魔法ですか?」


アレキ先輩:「そうだ。目をじっと見つめると、相手が勝手に惚れてしまう」


(俺)

《はぁ? あの先輩、ネネに魅了の魔法をかけようとしてたのかよ…!》

——ふざけんな。ネネはそんな魔法で落ちるような子じゃない。


アレキ先輩:「先輩がネネを落としにかかっていたから、後ろから目を塞いだんだ」


ネネ:「助けてくださってありがとうございます」


アレキ先輩:「…ネネのそういう笑い方、ずるいよ。守りたくなるに決まってるじゃん」


(俺)

《はい、待った! 待った! アレキ、心の声もれてんぞ。》

——……嫌な感じはしない。むしろ。

《……安心した。ネネは守られてる》

《……でも、俺じゃない》

《俺の居場所、まだ残ってるのか……?》


アレキ先輩:「大運動会のあと、大丈夫だった? ゆっくり休めた?」


ネネ:「大丈夫でした。あの時、わたしの魔力暴走を止めてくださってありがとうございました。本当は早くお礼を伝えないとと思ってたのですが…」


(俺)

《ネネは魔力暴走起こしてたのか…? 何がトリガーになったんだ…俺がいない間に……》


アレキ先輩:「ネネ、どうしたの? なんだか、楽しそうだね」


ネネ:「何でもないです」


アレキ先輩:「……そっか」


(俺)

《なんか、見つめあってないか…? そっかの言い方も、妙にしっとりしてるし……》


ネネ:「キャンプファイヤー、わたし、何気に楽しみにしてるんです」


アレキ先輩:「青春って感じでいいよな」


(俺)

《……ネネが笑ってる。》

《あぁ、でもその笑顔の隣にいるのは、俺じゃないんだな》

——それでも、ネネを守ってくれる存在がいてくれて、よかったと思う気持ちもある。

……複雑だ。


キャンプファイヤーが始まる頃、ネネはだんだん口数が少なくなっていった。

俺はその静けさの裏にあるものが気になって仕方なかった。

金髪が夕日に染まって、オレンジにきらめく。

焚き火のゆらめきに照らされるネネの姿は、息をのむほど美しかった。


(俺)

《……ネネって、いい女だよな。他の男がほっとくはずないよな……》

そのとき、ネネが立ち上がった。俺の方へ、歩いてくる。

——気づくか? 俺のこと。ここなら分かるか?


(俺)

《ネネが俺に気づいた! ネネの瞳が俺を見つけてくれた! 嬉しい……!》

ネネの腕に抱きしめられると、胸元に頬が当たる。あたたかくて、ほんのり甘い香りがした。


(俺)

《この温もりを、忘れるな——俺》


アレキ先輩:「ネネ。何でここにいるの?」


ネネ:「猫ちゃんを見つけて、戯れてました。えへへ」


アレキ先輩:「どうした? もしかして、泣いてる?」


(俺)

《ネネの泣きそうな声に、胸が締め付けられる…》


ネネ:「キャンプファイヤーを見てたら、ちょっと思い出してしまって…」


アレキ先輩:「そっか…ハオ、のことだよね…?」


(俺)

《ネネがうなずいている! 俺を思い出してくれた…でも……》

《……泣くな。俺のせいで泣かないでくれよ…》


アレキ先輩:「魔力暴走も、きっと彼を思ってだったんだよね…」

      「俺じゃダメかな…」


ネネ:「……え? それは、どういう…」


アレキ先輩:「俺は、ネネに笑っていてほしい」


(俺)

《……っ! アレキ先輩が、ネネに告白してる……!》

——ネネの腕の中にいる俺は、逃げることも、立ち去ることもできない。


アレキ先輩:「俺をネネの心の片隅に入れてくれないか?」


(俺)

《この沈黙が怖い…》


ネネ:「わたし、まだ心の中にハオがいるんです。溢れそうなほどいっぱいで、アレキ先輩を入れるのは難しそうです…」


(俺)

《……ネネ。俺のこと、まだ想ってくれてるんだ……》


ネネ:「アレキ先輩がいつも優しく支えてくださっていること、本当に感謝しています。でも、先輩の気持ちには答えられません」


(俺)

《嬉しい。こんなにも胸が温かくなるなんて……ネネ、ありがとう》

《……でも、まだ言えない。俺もだよ、って。伝えたいのに》


アレキ先輩:「うん。そうだと思った」

      「でも、覚えていて。俺はいつもネネのそばにいる。2年後、恋愛禁止が解けたら、俺も本気で行くから、覚悟しといてね」


(俺)

《……俺はまだ、やるべきことが残ってる。》

《でも、必ず、ネネを迎えに行く》

《安全で、ネネが安心して笑える国を作ったら……絶対に》

《だから——お願いだネネ。俺を、待っていてくれ》

《それが、俺の覚悟だ》



これで第12章が終わりました!

次から第13章です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ