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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第12章 〜5年生 アイドル1年目〜

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12-12. ハオ視点: その瞬間、命の鎖が切れた

順調に進めていると思っていた。

この一歩を踏み出すまでは。

まさか、俺の寝室に魔方陣が仕掛けられているとは…


空気が変わった。

わずかな魔力の揺らぎ──それだけで“それ”が発動したことを、ハオは悟った。

「……っ、しまった」


足元に広がる、古代語の混じった複雑な魔方陣。

鈍く青紫の光が収束し、空間がゆがむ。

逃げ道は、もうない。

敵は誰か。

わからない。

ただ、明らかに俺を狙ったもの──

そして、致命的な魔術だ。


ソランティア様の影が、今ここにいないことが最大の誤算だった。

自分の動向を報告するため、ほんの数分、目を離しただけだ。


「まさか、このタイミングで来るとは──」


俺は絶望的だった。

この魔方陣は中から魔方陣を破壊することはできない。

魔法が無効化されてしまうからだ。

そして、時間が経てば発動する。

全身を切り裂く魔法が…


俺はここで死ぬのか…

せめて……

ネネの笑顔を、最後に思い出せればよかった…



クロ視点:


俺はレオハルド王子の元を離れ、ソランティア様の部屋に来ていた。


「ソランティア様、ご報告に参りました。」


「クロ、そちらの状況はどうだ?」


「うまく動けていると思います。和平派の仲間が増えてー」


……その瞬間だった。

何かが“切れた”感覚。首筋に電流のような衝撃が走る。


「何だこれは──!」


背後の空気がざわめいたように感じた時、俺はもう動き出していた。

これほど悪質な魔法を感じたことがあるだろうか…

どうか間に合ってくれ。


✳︎


ハオ視点


クロが戻ってきた。

鋭い眼光が魔方陣を見て、即座に判断する。


「クロ!この魔法陣は内側から壊すことはできない。このままだと俺は全身が切り裂かれる。どうすればいいんだ」


「最悪ですね。よくこんな魔法陣を…」


クロの殺気が全身から溢れ出す。

俺は絶望に打ちひしがれていた。


「……やるしかないか。魔法が発動する前に外から壊すしかありませんね」


クロの目はもう決まっていた。

揺るぎないものに。


「ハオ、お前は無傷ではいられない。強力な魔法で破壊すれば、お前も危険だ。でも、魔法陣の中で死ぬよりはマシだろう」


「わかった。そうするしかないな。」


俺も覚悟を決めた。

生き残るためには、こちらを選ぶしかない。


「俺はありったけの魔法をぶつけて、この魔法陣を壊す。俺の魔法で死ぬなよ。」


俺は身震いした。

死を覚悟した。

この魔法陣が破られた瞬間に防御魔法で守る。

その数秒を逃してはならない。

冷や汗が背中を伝っている。


「3.2.1でいくぞ。」


3.2.1ー

クロの黒魔法が放たれた瞬間、部屋全体がきしむ音を立てた。

床がうねり、壁の装飾が崩れ、空気が一瞬、真空のようになる。

ハオの足元の魔方陣に、ピシッと鋭い音が響いた──。

まだ俺の魔法は使えない。

いつだ、この魔法陣はいつ壊れる?

全身を切り裂く魔法が発動する前に、何とか壊れてくれ

そして、タイミングを見誤るな。

パリンと魔法陣が砕け散った。

俺は瞬時に防御の魔法を自分にかけたが…


「ぐっ…!」


痛みと共に、赤い光に包まれた視界の中で、どこか遠くで雷鳴のような音がした。

誰かの咆哮。

……いや、あれは──俺の……?


「帰るぞ、ハオ。あの姫が待っている」


名前を呼ばれた瞬間、遠くにいるはずの彼女──ネネルーナの顔が浮かぶ。

そうだ、ネネ……!


その名を思ったとき、不意に胸元で何かが震えた。

(…まさか、魔力共鳴?)

互いの想いが届いたように、微かに感じるぬくもりを最後に俺は意識を失った。


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