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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第12章 〜5年生 アイドル1年目〜

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12-11. 王子様と、遠くのあなた

Aの試合が終わり、今はBの試合を残りのメンバーで観戦していた。

特殊なベールに包まれていたため、怪我をしたプレーヤーはいなかったが、魔力の消費が多かったため、各自ヒーリングを受けていた。


観戦席に座ったとき、ふと左手首がじんわりと熱い気がした。

試合中は一生懸命で気づかなかったのに。

日差しのせいだろうか。

それとも、魔法を使いすぎたせい?

──こんなこと、今まであったかな…


わたしがAのメンバーと一緒に休んでいたら、聖獣に乗ってお兄様がやってきた。

今日のイベントの護衛を騎士団が務めると聞いていた。


「ネネ、試合、お楽しみさま」


「お兄様、ありがとうございます。最後、中刷りになってしまって、とても悔しかったです。」


わたしは怒ったような顔を見せた。


「いや、でもネネは立派だったよ。」


嬉しかった。

大好きなお兄様に認められるのは、やっぱり格別だ。

胸がぽかぽかと温かくなる。


──でも。

それなのに、どこか少しだけ物足りなかった。

なぜだろう。

たぶん、同じ言葉を、あの人にも言ってもらいたかったから。

ハオなら、なんて言うだろう。

からかいながら、でも、誰より真剣な目で、わたしを見てくれたのかな…

そんなことを考えてしまう自分が、少し恥ずかしかった。


お兄様は誰か見つけたようで、パっと手を挙げた。


「アレキ、おめでとう!さすがだったな!」


こちらへやってきたのはアレキ先輩だった。

お兄様はアレキ先輩の肩をバンバンたたいていた。


「ありがとうございます。痛いです」


アレキ先輩は嬉しそうに答えていた。


「アレキ先輩、ゲーム中は助けていただいて、ありがとうございます。」


わたしは後ろへ向き直ってお礼を述べた。

あの抱きしめられた瞬間を思い出してしまい、ちょっと顔が赤くなるのを感じる。


「いやいや、最後まで守り切れず、ごめんね。」


わたしのミスにも誤ってくれる先輩が優しすぎる…

アレキ先輩、いい人すぎですよ…


「それにしても、アレキは腕が訛ってないな。素晴らしい試合だったよ」


「そう言ってもらえて光栄です。アドリアン様のおかげです」


ん?どういうこと?

一緒に練習したことがあるってこと?

わたしの頭の中に?が浮かぶ。


「前から思っていたのですが、お兄様とアレキ先輩はどういう繋がりなのですか?」


まわりのメンバーも気になったみたいだったから、わたしが質問した。


「アレキは騎士団に入ることを目指していたから、俺と一緒によく鍛錬していたんだよ」


「そうなんだ。結局、アイドルになるという夢が叶ったんだけどね。アイドルになれなかったら、騎士団に入ろうと思っていたんだ。」


わたしも含め、みんなは固まった。

騎士団に入れるのは優秀な人のみだからだ。

アレキ先輩は、アイドルの才能も有り、騎士団に入る程の実力の持ち主でもあったんだ…

みんなの尊敬のまなざしが強くなった気がする。

そう、わたしももれなくその一人。


「さあ、俺は警備に戻るよ。引き続き、楽しんでね。」


お兄様は聖獣にまたがり、風を切って空へ戻っていった。

わたしはアレキ先輩をもう一度見た。


「試合中、アレキ先輩が戦闘に慣れている感じだったので、不思議だったんですよね。でも、騎士団を目指していたと聞いて納得しました。最後の大技も見事でしたし」


「ネネ、ありがとう。俺も、こっちの腕が落ちないように、これからも努力しないとな」


「じゃあな」


と言って、アレキ先輩も同じグループの仲間の方へ戻っていった。

アレキ先輩が遠くへ行った瞬間、メンバーたちが一斉に口を開く。


「アレキ先輩、これからますます人気になっちゃうわね」


「うらやましいよ、ネネ。お気に入りの後輩なんでしょ?」


わたしは慌てて首を振った。


「全然、そんなのじゃないよ。ほんとに。」


試合はまだ続いていたけれど、わたしの意識は、手首の熱に集中していた。

みんなと話をしながらBの試合も見ていけれど、やっぱりブレスレットが気になってしまう。

どうしたんだろう…

これは、どう考えてもおかしい。


太陽の光を浴びた紫の水晶は、光を浴びて輝いている。

まるで、ハオの瞳みたいだった。


ハオと離れて、もう一年になるのか…

青空を見上げて、胸がきゅっと苦しくなった気がした。


ハオが笑っていますように…

目をつむってそう祈った瞬間



ーーパン



とはじける音がした。

目の前には信じられない光景が広がっていた。


わたしのブレスレットが壊れて飛び散っていたのだ。

どうして?急になに?

わたしは突然のことに、状況が理解できなかった。


ヒヨナが横で


「ネネ、大丈夫?」


とわたしの瞳を覗き込む。


「うん…拾わなきゃ…」


わたしは無意識に言葉を発し、転がっているアメジストの水晶を集めていく。

近くに座っていたメンバーも一緒に拾ってくれた。


拾い終わってすべての水晶を両手に包み込んだ。

ハオの身になにか起きたのかもしれない…

得体のしれない不安に、胸がつぶれそうになった。


嫌な予感がする。

でも、この胸騒ぎが外れてほしい。

たまたまブレスレットが壊れたと思いたかった。

でも、わたしは心の中に生まれたこの気持ちを抑えることはできなかった…


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