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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第12章 〜5年生 アイドル1年目〜

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12-4. 光の序章

これから学校休みが始まる。

そう!わたしたちのデビューの日。

今日は緑夏が立つ日と言われていて、太陽のエネルギーで世界が満たされる。


そんな日にわたしたちは ”LUMINAルミナ” としてデビューする。

”光”を意味する古代の言葉で、10人の光が集まり輝くというグループ名。

ファンネームは「LUXルクス」。

わたしたちを応援し支えてくれる大切なファンの方々への親しみを込めたネーム。


瑞々しさ、透明感を連想させる、さわやかな衣装に身を包んだ。

わたしはブレスレットに透明化の魔法をかけた。

準備はばっちり。


今日のわたしたちのデビューステージには、先輩アイドル達も応援に駆けつけている。

わたしたちの半年前にデビューしたPhase9(フェーズナイン)という女性グループ。

大人の女性の美しさ、強さを表現する曲が多いのが特徴だ。


一方で、アレキ先輩が所属しているORBITALオービタルは古代語で「軌道・惑星の周囲を回る存在=君を見守る者」という意味をもつ。

やわらかくて、まっすぐな思いをもつ、圧倒的王子様感のグループだ。


アレキ先輩はファンから『セオ』と呼ばれている。

同じグループにアレクサンダー先輩がいて、彼がアレクと呼ばれているから、アレキ先輩はセルシオンという苗字から、セオとニックネームがついたらしい。


2グループのパフォーマンスのあとに、わたしたちがデビューするという流れで進んでいく。


アレキ先輩のパフォーマンスを見たことはあったけれど、舞台袖から見たのは初めてだった。

メンバーのイキイキとしたエネルギーを感じ、魔法のスクリーンなしで表情管理まで見える。

デビュー曲である『君という軌道』は、歌詞が秀逸でわたしも好きな曲の一つ。


わたしはアレキ先輩を見ていた。

とてもかっこいいなと思った。

前からかっこいい先輩だと思っていたけど、やっぱりパフォーマンスをする時の顔は一段と違ってみえる。


アレキ先輩がパートを歌っている。


「君がいれば僕は軌道を外れない」


その瞬間、舞台袖の私と目が合った気がした。

一瞬の出来事だから、確かではないけれど、先輩の目がわたしをとらえた気がした。


すてきな歌詞だな…


わたしの胸の中にあたたかい気持ちが広がる。

そう、ハオがいればわたしは軌道を外れたりしない。

自然と顔がほころぶのを感じた。


見ててね、ハオ。

わたし、ついにデビューするよ。

あなたに向けて光を届けるからね。


・・・・


舞台袖で緊張の時を過ごす。

わたしの心臓が大きく波打っている。


「王女なのに」

「公爵令嬢がアイドル?」

「コネで合格できた」


そう言われることもあった。


でも、わたしはわたしの夢を叶えるって決めた。

周りになんと言われようと…

いっぱい練習してきたから大丈夫と自分に言い聞かせる。

わたしはアイドルになるという夢をつかめたのだから。


最後にチームで円陣を組む。

10人で寄り添い、手を差し出し、重ね合わせる。

私の隣にいるヒヨナは、私の肩に手を置き、うんと頷いた。

わたしもヒヨナの目をみて頷き、それに答える。

メンバーが声を掛け合って、心を一つに、私たちは共にステージ上へ駆け出した。


ライトに照らされる中、私たちは観客の前に登場した。

たくさんの歓声がわたしたちをむかえてくれる。

わたしは会場をさっと見回した――


その瞬間、視線がある一点に吸い寄せられる。


わたしは今、憧れのステージに立ってるんだ…

感動と喜びで胸がいっぱいになった。


でも、やっぱり気になる観客の最後列。


——黒髪。

観客の中に、ライトの陰に立つ人影。

顔までは見えない。

けれど、あの立ち姿、雰囲気——


「まさか、ハオ…?」


心臓がどくんと跳ねた。

一瞬にして胸がざわつく。


「こんなときに、何を考えてるの、わたし…」


そう思っても、目が離せなかった。

だめだ、集中しなきゃ。

今は夢の舞台、わたしの大切な一歩を踏み出すとき。

——でも。

もし、あれが本当にハオだったら?


心が波打つ。

それでも、わたしは光を届けるんだ。

ブレスレットにふれた指先に、力を込める。

わたしはひとりじゃない。

わたしは希望の光を届けるだけー


会場が静まり、わたしたちの音楽を待っている。


暗転したステージから、ユーナの歌声と光が差し込む。


「こんな気持ち 知らなかった

あなたを想うだけで 胸がときめくの」


わたしは雷の魔法できらめく光を演出する。

それと同時に会場のみんなに魔法がかかった。

わたしたちの光と希望の魔法がー

・・・


わたしのパートが近づいてきた。

今このステージに立っていることに感謝の想いがあふれた。

そして、ゆるぎない思いも沸き上がる。

心が震えるけれど、それでもわたしは歌う。


「同じ空の下で願うだけで

 わたしは強くなれる どんな未来でも」


わたしだからこそ、伝えられることがある。

みんな一人じゃないんだよって。

ファンのみんなには、わたしたちがついてるからーそう思いを込めて。


歌い終わった瞬間、観客の希望の光が会場に放たれた。

その美しい光景に、わたしは涙をこらえながら微笑んだ。

静まり返ったあと、一人の拍手から始まり、たくさんの歓声が聞こえた。


手を振って観客を見回すと、あの黒髪の人の姿はなかった。

わたしの幻想だったのかな…?

でも、きっとハオはわたしのことを応援してくれてるはず。


ハオの存在があるというだけで、強くなれる…

不思議だな…


この灯を大切にしていこう。

今という瞬間も、この先もずっと。


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