9-8. ハオ視点:観客席編 光の名を知った日
「…まぶしすぎる」
俺は観客席の最奥から、その光をただ静かに見つめていた。
俺の握るペンライトは何度も虹色の光を放っている。
光そのもの、希望の存在、アイドルと一言で表すことができない、
そんな人だと思った。
いつの間にか、俺の心はしっかりと彼女につかまれていたみたいだな。
俺も光を掴みたい、そして俺の中にだけ閉じ込めて、誰にも見せたくない。
そんな小さな自分がいることにも気づいてしまった。
でも、彼女はきっと、勝手に世界へ羽ばたいてしまうんだろうな。
俺の手の届かないところへ。
あの子は世界を変える。
光、希望として。
このまま一点の曇りなく、
いつか、バレンシャンにも彼女の光は届くだろうか…
そして、俺のことも照らしてくれるだろうか…
俺の正体を知っても、それでも俺を見てくれるだろうか…
俺はただ、彼女を守りたい。
あの美しい光を、純粋な心を、希望に満ちた想いを――
もしこの手が、まだ何かを変えられるのなら。
彼女の隣に、胸を張って立てる自分になりたい。
そう、願ってしまったんだ。




