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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第九章 ~4年生 アイドルオーディション~

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9-7. ネネ視点: 舞台編 この声、届け!

静まり返った舞台袖。

誰も言葉を発さない。

わたしの胸の鼓動だけが全身に響いていた。


4歳の時から夢見ていたアイドルへの大きな一歩。

集大成を発表する瞬間がついにやってきた。


公募型オーディションでは、アイドルとして練習してきたことを表現するだけでなく、新しくチャレンジしたこともたくさんあった。

悩むことも、つまづくこともあったけれど、今、この場に立てるという奇跡をかみしめる。


公開オーディションではデビューメンバーに選ばれなかったけれど、今は、それで良かったと心から思えていた。

あのときは悔しくて、どうして自分じゃないのかって涙が止まらなかった。

でも、あの経験があったからこそ、仲間の大切さや、自分らしい光の見つけ方に気づけた。

こんな美しい出逢いと経験を創造できた自分がもっと好きになった。


すべてのことが繋がっている。

わたしの中で、光の柱がより強く輝いた気がした。


この2週間でわたしたちの先頭に立ってくれたのはユーナだった。

彼女の掛け声で、わたしたちは自然と円陣を組んだ。


「この2週間、本気でやり切ったよね。

みんなの個性が輝いて、最高のデビュー曲ができたって胸を張って言える」


ユーナがわたしたちみんなでデビューするんだ、という強い思いが伝わり、胸が熱くなる。一瞬涙が出そうになる。


「この2週間、みんなのいいところをたくさん見てきたし、

わたしはこの10人でデビューしたい!いや、絶対する!

誰一人、不合格にさせない!

全員の光を、希望を世界に放とう!

そして、みんなでうれし泣きして、笑顔で舞台から帰ってこよう!」


全員:「はい!」


ユーナの想いが響き、みんなの心がひとつになるのを感じる。

みんなの目がうるうるしているのを見て、わたしたちの感動が広がっていく。

こんなわたしたちが表現するんだもん、どんなエネルギーが伝わっていくのか、創造するだけで胸がふくらむ。


会場では審査員だけでなく、抽選で選ばれた観客が集まっている。

まだデビューしていない私たちのために、1000人ものお客さんが集まってくれていた。


これは、大舞台。

一瞬一瞬に想いを込めて、祈りを込めて、

大切な人だけでなく、目の前の一人ひとりに

わたしは希望と光を届けるよ。


舞台の上でマイクを触って最後の確認をする。

少し震えてしまう手。

けれどここには、全部が詰まっている。


見ててね。ハオ。

同じ空の下にいる、

だからわたしは強くなれるの。


「届け――」


そう願って、最初のフレーズを放った。

観客が一斉にペンライトを手にする。

ペンライトに虹色の光がともった。

わたしたちの曲に合わせて、会場が一体になっていく。


まばゆいクリスタルシャワーから始まり、光が反射してキラキラ輝きを放つシャボン玉は、触れるとパラパラと水色の光が飛び出す。

聖獣に乗って会場を飛び回るとき、人々の笑顔が見えて、声援が聞こえて、わたしの胸がいっぱいになる。


ついにわたしの歌うパートがやってきた。



同じ空の下で願うだけで

わたしは強くなれる どんな未来でも


ねぇ、届いてる?

気づけば、涙がこぼれそうになっていた。

審査員のひとりが、胸に手を当てていた。


次の私のパートはサビの前の繋ぎ部分。

クライマックスへしっかりバトンをつなぐ役目。


どんな時も君の隣で輝く

これからもずっと 一緒に光を追いかけていこう


光を追いかけたい。

一緒に未来を見たい――

それだけで、胸がいっぱいになる。


わたしは一番後ろの席で涙をぬぐっている少女と目が合った。

その美しい涙はステージからもしっかり見えていた。

その目はまっすぐにこちらを見つめていた。


「届いたよ」


そんな言葉が聞こえたような気がした。

その少女のペンライトから幾重にも虹色の光が飛び出していた。

美しい光景だった。


会場が美しいエネルギー、光で満たされていく。

そして希望の想いも強くなっていく気がした。

最後はわたしたちからもたくさんの光を放ち、会場がクリスタルでいっぱいになってフィナーレを迎えた。


完全燃焼だった。


曲が終わった後、まるで音がすべて消えた世界のようだった。

わたしたちの息遣いだけが響く。

余韻が、会場の空気を包み込んでいた。

誰も、まだ拍手を忘れていた。


そして、嵐のような拍手が会場を満たした――。


やった!やりきった!

わたしたちは大きな声で礼をしてステージを降りた。


その瞬間、お互いに抱き合った。

嬉しさと感動で勝手に涙があふれる。

最終審査であることを忘れて、わたしたちはその一曲の間、正真正銘のアイドルだった。


あの瞬間の輝きは、何よりも本物だった。

あの光を、これからも、ずっと追いかけていきたい。

静かに、でも確かに――わたしの世界が動き出した。


『魔法にかけられて』

こんな気持ち 知らなかった

あなたを想うだけで 胸がときめくの

あなたという魔法にかかって

わたしの世界が 動き出した

まるでジェットコースターみたいに

喜びも涙も あなたがくれた

今までも これからも

心の中は あなたでいっぱい


ささいな仕草に 目が離せなくなるの

どんな時間でも あなたを探してしまうよ


不安になる日もあるけど

あなたの声が道しるべ

信じたいよこの想い 胸に刻んで


たくさんのプレゼントをありがとう

涙も笑顔も全部 あなたでいっぱいになる

同じ空の下で願うだけで

わたしは強くなれる どんな未来でも


(ラスサビ繋ぎ)

どんな時も君の隣で輝く

これからもずっと 一緒に光を追いかけていこう




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