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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第八章 ~4年生 前期~

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8-16. 君を活かしきれない

ごめんなさい…スケジュール抜けてました。

7時、21時投稿できるように頑張ります!

本来は昨日、発表後にそのまま合格者、つまりアイドルグループの正式メンバーの発表がある予定だったが、事件の関係で今日に延期になった。

わたしたちは全員集まって、メンバー発表の時を待つ。


5人のチームメンバーで集まり、「私たちは良くやった」と互いに励まし合った。


「あれだけのパフォーマンスなら大丈夫だよ」


と違うチームのメンバーからも声をかけてもらえた。





メンバー発表の瞬間がやってきた。

候補者が全員舞台へ上がる。


まず初めに発表されたのはアイドルメンバーの人数だった。

このメンバーは9名に決まった。つまり、17人中8人が不合格となる…


約半数が落ちるのか…

どんな結果になっても受け止めると決めている。

でも、せっかくなら合格してアイドルの夢を掴みたい…。

この舞台の上にいるみんなが同じ気持ちのはずだ。


ー緊張の瞬間が流れる。


「一人目の合格者は…セレナ・ディオン!」


会場から歓声が上がる。

セレナは涙を流しながら合格おめでとうの言葉ももらっていた。

合格者がとても眩しく見えた。

さっきまでは同じ候補生だったけれど、セレナはもうアイドルになったんだ…


「二人目の合格者は…「サビーナ・イル!」


次々と名前が呼ばれていく。

5人目、6人目、7人目と進み、ついに最後の二人になった。


「8人目の合格者は…サユリーン・ロドリゲス!」


わたしは8人目でもなかった…

あと合格できるのは一人…

どうか、合格できますように…!

目頭が痛くなるくらい、ぎゅっと目を閉じた。


「9人目、最後の合格者は……

ユーリ・ホーク!」


会場から拍手が巻き起こる。

わたしはこの9人目を読み上げる時、シーンがスローモーションのように感じられた。


9人目の合格者で、わたしの名前は呼ばれなかった…

頭が真っ白になり、鼓動だけがわたしの体の中で動いているようだった。


世界が色褪せて見えた。

わたしの挑戦は終わったんだ…


合格者は嬉し泣きをし、合格できなかったメンバーは悔し涙が溢れる。

悔いのないように、一生懸命練習してやり切ったから、どんな結果でも受け止めると思っていた。

でも、現実は、その結果を受け止めることがとても苦しかった。


ステージの上でみんなで抱き合って泣いていると、審査員の一人が壇上に上がってきた。


「合格できなかったみなさんに、伝えたいことがあります。今回、アイドルグループに選ばれなかったとしても、夢を諦めないでください。人生で大きな挫折を味わったあなたたちは、人として一回りもふた周りも成長して、人間として深みが出ていることでしょう。努力したということ自体が、素晴らしいことです。

いつか、あなたたちと未来で交錯することを願っています。」


そう言って、合格できなかった人たちの肩を叩き、握手をしてまわっていく審査員。

わたしにも優しく、でも熱い眼差しを向けて言葉を送ってくれた。


「あなたの演技は素晴らしかった。あなたのパフォーマンスは、観客を救ったと言ってもいい。点数をつけるなら、100点満点だった。でも、だからこそ、あなたを合格にはしませんでした。」


「?!?!」


わたしはこの審査員の方の言っている意味がわからなかった。


「これからプロデュースする私たちが思い描いているアイドルグループでは、あなたを活かしきれないと思ったからです。」


わたしを活かしきれない…?

どういうこと…


「合格できるように、あんなに練習したのに」

「100点満点だったのに、なぜ…」


頭の中で言葉が渦を巻いている。

何かがこぼれ落ちていくような感覚。

世界にわたしだけが取り残されるような感覚だった。


会場を後にし、帰る準備をする。


わたしの頭の中は、さっきの審査員の言葉がこだまする。


わたしは、間違ってたの?

グループに合わないくらい“異質”だった?

あれだけ頑張ったことには、意味がなかった?

わからない。何もわからない…。


一緒に帰る準備をしていたチームメンバーが涙ぐみながらわたしを抱きしめた。


「なんで…ネネが落ちるのよ!」

「ネネの演技、みんな泣いてたじゃない」

「納得いかないよ…!」



「みんな、ありがとう。わたしも、みんなと一緒に合格したかった…

サビーナ、合格おめでとうね!頑張ってね!ずっと応援してるから。

みんなも、アイドルとして次は会えるようにお互いに頑張ろう!」


自分が辛い時も、わたしを励まそうとしてる仲間に救われる。

でも、やっぱりアイドルになると決まった子とわたしの間には大きな溝があると感じてしまった。

わたしの心にできた空洞は埋まらなかった。


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