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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第八章 ~4年生 前期~

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8-12. 信じてる

ハオから言葉をもらってから、わたしは練習方法を変えた。

焦りや不安から行動を選択するんじゃなくて、一つ一つの目の前のことに集中するようにした。

わたしは大丈夫。

着実に進んでいる。


ハオへの告白はまるで振られるような形になってしまったけれど、ハオがわたしの気持ちを受け止めてくれたことが嬉しかった。

また違うタイミングで、ちゃんと機会を作って、もう一度伝えられたらいいなと思ってる。

ハオはきっと、何かを抱えてる…

わたしには伝えられない何かを…

だから、わたしはハオを支えられる存在になりたい…


誰かを想う気持ちが、こんなにわたしを強くしてくれる…

ハオへの感謝があふれた。


しっかり寝て、しっかり食べて、わからないことは教えてと助けを求めて、目の前のことに集中する。

魔力が枯渇するくらい自分を痛めつけていた時とは比べ物にならないくらい、自分の心も魔力も安定している。

このまま本番に向けて突き進むのみ!


本番前日、候補者17名はグループごとに部屋に集められた。

いよいよだと緊張しているわたしたちにサプライズプレゼントがあると伝えられた。


すると、目の前に魔法のスクリーンが現れ、映像が流れ始めた。

それは、家族からのメッセージだった。


メンバーそれぞれが家族からメッセージをもらって涙を流している。

どのメッセージも温かくて、わたしももらい泣きしてしまう。


わたしへのメッセージにはお父様、お母様、お兄様が映っていた。


「ネネの家族、美形すぎない?」

「お父様の瞳が赤色ってことは、ネネは王族なの?」


メンバーが口々に言っている横で、わたしは家族のメッセージに集中する。


「ネネ、この映像を見ているということは、発表の前日なんだね。」


お父様の優しい声を聞いた瞬間、ブワっと涙が溢れ出した。

この様子も公開されているけど、どう映るかなんて、そんなことを気にしてられる余裕はなかった。


「ネネは昔からアイドルになるという夢を追いかけて、迷いなく進む姿が美しかったよ。明日は悔いなく、ネネのエネルギーを表現しておいで」


魔法のスクリーンの映像が涙で滲んでしまうけれど、微笑んでいるお父様が見えた。


「ネネ。ここまでよく頑張ってきたね。」


お母様のその言葉が、わたしのこの3週間の頑張りを認めてくれたみたいで、再び涙が溢れ出した。


「たとえどんな結果になっても、ネネが頑張ってきた一歩一歩で着実に前に進んでいますよ。他のみなさんも、最高のステージになることを心より祈っています。」


「ネネ、いつもたくさんの笑顔をありがとう。ネネは宇宙一、魅力的な女の子だ。大丈夫!自信を持って、表現しておいで」


お母様の包容力も、相変わらずな溺愛お兄様も、みんなの言葉が力になった。


「…ありがとう」


胸の奥で静かにお礼をつぶやいて、わたしはそっと涙をぬぐった。

もう大丈夫。

わたしには、家族がいる。

支えてくれる人がいる。

…それでもどこか、ハオの姿を探してしまう自分がいた。

その時だった。


「ネネならできる。信じてる」


というハオからの伝達魔法がわたしの耳元でこだまする。

わたしの胸は想いが溢れていっぱいになる。

涙も枯れるんじゃないかと思うくらい、とめどなく流れた。

わたしが欲しい言葉をくれる存在がいてくれる幸せを噛み締めた。


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